ソフトバンク、モバイルネットワークで遠隔地から手動で操縦可能な「ケータイドローン飛行制御システム」を開発

ソフトバンク株式会社(以下:ソフトバンク)は、災害時における救助・救援活動などでの活用を目指し、モバイルネットワークを利用して遠隔地から操縦機によるドローンの手動操縦を可能にする「ケータイドローン飛行制御システムを東京工業大学(以下:東工大)と共同開発した。

2019年12月16日に国土交通省から目視外飛行許可得、実証実験を実施した。本システムは、モバイルネットワークで遠隔地からドローンの手動操縦ができ、さらに飛行ルートをあらかじめ設定した自律飛行と、ドローンが離着陸する現地の操縦者による目視内の手動操縦へ切り替えることができる日本初※1のシステムだという。

本システムを利用して、東京都江東区青海にいる操縦者が、約70キロメートル離れた千葉県長生村でのドローン飛行させ、モバイルネットワークを利用して遠隔地から目視外での手動操縦や、自律飛行および遠隔地からの手動操縦から現地の目視内手動操縦への切り替えに成功した。

本システムは、ソフトバンクが、東工大 藤井 輝也研究室と共同開発したもので、ドローンと操縦機の双方にLTE対応の通信モジュールを搭載し、広範なエリアをカバーできるモバイルネットワークを介した遠隔操作を可能にする。

またドローンからの視界の映像を操縦者に中継することで目視外での手動操縦を可能とした。

Wi-Fiなどの特定無線※2を介して手動操縦を行う場合、最大飛行距離は、使用する特定無線の性能によるが、数キロメートル程度に限られている。

また、自律飛行操縦の場合、あらかじめ飛行ルートを設定するため、飛行途中にルートを変えるなどの柔軟な対応はで難しいが、本システムは、モバイルネットワークを介して遠隔地にいる操縦者が映像を見ながら操縦機を操作し、手動操縦をすることができるため、突発的事象への柔軟かつ迅速な対応が可能になる。

これにより災害時の遭難者捜索時などで、離れた場所からドローンを手動操縦して、迅速な救助・救援活動を行うなどの活用が期待できるという。

さらに、本システムは自律飛行と手動操縦を切り替えられるだけでなく、モバイルネットワークと特定無線の切り替えも可能だ。

例えば高度な飛行制御が必要となる離陸や着陸の場合や、現場の急な天候の変化が発生した場合、自律飛行や遠隔操縦からの目視による手動操縦への切り替えや、電波状況を考慮した通信手段の変更が可能となるので、より高い操縦の安全性が確保できる。

ソフトバンクは雪山や山岳地域などでの遭難者救助を目的にドローンを活用した研究※3を、2016年から進めてきた。

今後、本システムを活用してドローン無線中継システムの実用化を目指すとともに、自治体や公共機関、企業と連携し、災害対策やドローンを活用した社会課題の解決に向けた研究を進めていくという。

[注]

※1 2019年12月19日現在(ソフトバンク調べ)

※2 アンライセンスバンドで、特殊な目的のための通信システム

※3 2018年10月18日付 プレスリリース「ドローンによる新無線中継システムの実証実験結果と実用化に向けた提言について」

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