ベネトクラクス併用療法について、新たな長期データを発表

2019年12月20日
アッヴィ合同会社

ベネトクラクス併用療法について、新たな長期データが再発/難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)患者さんにおける無増悪生存期間および全生存期間の継続的な効果を示す

●MURANO試験における4年間の最新解析結果で、ベンダムスチン塩酸塩/リツキシマブ併用療法(BR)と比べて、ベネトクラクス/リツキシマブ併用療法(VenR)は患者さんの病勢進行または死亡リスクを81%低下させ、より高い微小残存病変(MRD)陰性率を示す[1]
●BR群の79%が新規標的療法へ移行したにも関わらず、VenRを完了した130例においては、BR群に比べて死亡リスクが59%低下、両群とも全生存期間(OS)の中央値には到達せず。[1]
●当該併用療法を完了した130例のうち、68%においては休薬期間開始後24カ月にわたり病勢進行なく、全生存期間における効果が持続[1]
●詳細な結果は、第61回米国血液学会(ASH)年次総会にて口頭発表

イリノイ州ノースシカゴ、2019年12月8日(米国時間)-グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業であるアッヴィ(NYSE: ABBV)は、一定期間のベネトクラクス/リツキシマブ併用療法(VenR)を受けた再発/難治性慢性リンパ性白血病(R/R CLL)患者さんにおける持続的な臨床的有用性をさらに裏付ける、事後解析で得られた長期データを発表しました。第III相MURANO試験における4年間の解析(追跡調査期間の中央値:48カ月、全患者さんにおけるベネトクラクスの休薬期間の中央値:22カ月)に基づく最新データによると、化学療法を含まない、一定期間(2年間)のベネトクラクス併用療法を完了したR/R CLL患者さんにおいて無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)が維持されました。また、ベネトクラクス併用療法を完了した患者さんにおいては、標準治療のベンダムスチン/リツキシマブ併用療法(BR)を受けた患者さんに比べ、より高い微小残存病変(MRD)陰性率および完全寛解率が認められました1。詳細な成績は、第61回米国血液学会(ASH)年次総会にて口頭発表されました(抄録番号355)。

アッヴィのバイスプレジデント兼血液学分野の開発グローバル責任者であるモハメド・ザキ医師(M.D., Ph.D.)は次のように述べています。「今回の結果は、一定期間のベネトクラクス併用療法が、CLL患者さんにおける病勢進行または死亡リスクを低下させることを裏付けています。我々は引き続き、ベネトクラクス併用療法が秘める有用性を最大限理解することに注力するとともに、血液がんを有する患者さんの標準治療を変える可能性がある、その他の臨床開発プログラムの進展に邁進していきます」

MURANO試験の治験責任医師であるPeter MacCallum Cancer Centre and Royal Melbourne Hospital(オーストラリア)の血液内科部長、ジョン・シーモア教授(MBBS, Ph.D.)は、次のように述べています。「MURANO試験における4年間の解析結果によると、標準治療に比べ、ベネトクラクス併用療法は病勢進行または死亡リスクを81%低下させました。本試験で認められた持続的な有効性および管理可能な安全性プロファイルは、R/R CLL患者さんにおける一定期間の治療による臨床的有用性をさらに裏付けるものといえます」

事後解析によると、病勢進行なく2年間にわたるベネトクラクス併用療法を完了した患者さん(n=130)の追跡調査期間の中央値は22カ月(範囲:1~35カ月)でした。VenRを受けた患者さんの無増悪生存期間[ハザード比(HR):0.19、95%信頼区間(CI):0.14~0.25、p<0.0001(記述統計)]および全生存期間[HR:0.41、95% CI:0.26~0.65、p<0.0001(記述統計)]は、BRを受けた患者さんに比べ、より長く維持されました。休薬期間開始後24カ月間における治験担当医師(INV)の評価による無増悪生存期間の推定値は57.3%(95% CI:49.4~65.3)で、BRを受けた患者さんでは4.6%(95% CI:0.1~9.2)でした。また全生存期間の解析結果から、4年間の無イベント率はBR群の66.8%に対し、ベネトクラクス群では85.3%(95% CI:89.2~99.0)でした(中央値には到達せず)。対照群の79%が病勢進行後に別途CLL標的療法を受けたにもかかわらず、ベネトクラクス群では全生存期間の改善が認められ、ベネトクラクス群では無増悪生存期間の改善も認められました1。

治療終了時に患者さんの64%がMRD陰性を達成し、このうち87%は治療終了後2年間にわたり病勢進行が認められませんでした。MRD陰性は、治療終了後に血液または骨髄中に残るCLL細胞が白血球10,000個中1個未満と定義されます1。MRD陰性の達成は臨床的アウトカムの改善と関連していることから、副次的評価項目として評価されました2。標準治療のBRを受けた患者さんに比べ、VenRを受けた患者さんでは休薬期間中に、より高いMRD陰性率が認められました1。

当該併用療法の安全性プロファイルは、各併用薬剤の単剤投与における既知の安全性プロファイルと一致しています。MURANO試験では、最終更新以降、重大な安全性上の問題は新たに認められていません。非黒色腫皮膚がんを除くと、標準治療コホートで黒色腫が1件、ベネトクラクスの併用療法コホートで黒色腫が1件、乳がんが1件報告されています1。

ベネトクラクスは、ファーストインクラスのB細胞リンパ腫2(BCL-2)阻害剤で、アッヴィとロシュ社が開発を行っています。米国ではアッヴィとロシュグループの一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売しています。

第III相MURANO試験のデザインおよび結果
1つ以上のレジメン治療歴があるR/R CLL患者さん、計389例が多施設無作為化非盲検国際共同第III相MURANO試験に登録されました。この試験は、ベネトクラクス/リツキシマブ併用療法群(194例)の有効性および安全性を、ベンダムスチン塩酸塩/リツキシマブ(遺伝子組換え)併用療法群(195例)と比較するためにデザインされました。本試験の患者さんの年齢中央値は65歳(範囲:22~85歳)でした3。

主要有効性評価項目は、INVの評価による無増悪生存期間としました。主要解析の時点で、無増悪生存期間の中央値はベンダムスチン塩酸塩/リツキシマブ併用療法群の17.0カ月に対し、ベネトクラクス/リツキシマブ併用療法群はその時点での到達はありませんでした(HR:0.17、95% CI:0.11~0.25、p<0.0001)。主要有効性解析では、追跡調査期間における無増悪生存期間の中央値は23.8カ月間でした(範囲:0~37.4カ月)。その他の有効性評価項目は、独立評価委員会(IRC)の評価による無増悪生存期間、INVおよびIRCの評価による奏効率(完全奏効+骨髄回復が不完全な完全奏効+部分奏効+結節性部分奏効と定義)、全生存期間ならびにMRD陰性達成率でした3。

ベネトクラクスについて
ベネトクラクスはB細胞リンパ腫2(BCL-2)タンパク質に対し、選択的に結合および阻害するファーストインクラスの薬剤です。いくつかの血液がんでは、BCL-2がアポトーシスと呼ばれるがん細胞の自然死または自己破壊の過程を阻止します。ベネトクラクスは、BCL-2タンパク質を標的とし、がん細胞で失われたアポトーシスの過程を回復させる作用があります。

ベネトクラクスは、アッヴィとロシュ社が開発を行っています。米国ではアッヴィとロシュグループの一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売しています。これら数社が共同でBCL-2研究に取り組んでおり、種々の血液がんおよび他のがんを対象に、複数の臨床試験においてベネトクラクスを評価しています。

ベネトクラクスは、米国を含め50を超える国で承認されています。アッヴィとロシュ社は現在、治療を必要とする、さらに多くの適格な患者さんにベネトクラクスを提供するため、世界中の規制当局と協力しています。

ベネトクラクスの使用および米国における重要な安全性情報 [4]

使用
ベネトクラクスは、以下を適応として使用する処方薬です。
・成人の慢性リンパ性白血病(CLL)患者さんまたは小リンパ球性リンパ腫(SLL)患者さん
・以下に該当する初発の急性骨髄性白血病(AML)成人患者さんに対するアザシチジン、デシタビンまたは低用量シタラビンとの併用療法
○ 75歳以上、または
○ AML以外に、標準的な化学療法を使用できないような医学的状態にある
ベネトクラクスは、奏効率に基づき承認されています。上記の適応での使用が引き続き承認されるかどうかは、長期間にわたって使用した場合のベネトクラクスの効果を検討するために現在実施されている試験の結果により決まります。

ベネトクラクスの小児に対する安全性および有効性は明らかになっていません。

重要な安全性情報

ベネトクラクスについて認識しておくべき最も重要な情報とはどのようなものでしょうか。

ベネトクラクスは重篤な副作用を引き起こす可能性があります。以下に例を示します。

腫瘍崩壊症候群(TLS):TLSはがん細胞が短時間に崩壊することにより起こります。TLSは腎不全を引き起こし、透析治療が必要となる可能性があるほか、死に至ることもあります。担当の医療従事者は、ベネトクラクスの投与開始前に検査を行い、TLSのリスクを調べます。TLSのリスクを低減させるため、ベネトクラクスの投与開始前と投与中に他の薬剤が投与されます。補液の静脈内(IV)投与が必要になることもあります。TLSの有無を調べるため、担当の医療従事者はベネトクラクスの投与開始時と投与中に血液検査を行います。

予定通りに血液検査を受けることが重要です。ベネトクラクス投与中に、発熱、悪寒、悪心、嘔吐、錯乱、息切れ、痙攣発作、不整脈、暗色尿、混濁尿、異常な疲労、筋肉痛、関節痛など、TLSの症状が現れた場合は、すぐに担当の医療従事者に伝えてください。

TLSのリスクを低減させるため、ベネトクラクスの投与時は水分を多くとってください。ベネトクラクス初回投与の2日前から毎日コップ6~8杯(合計で約56オンス)の水を飲み始め、ベネトクラクス初回投与当日や用量が増量されたときも毎回飲んでください。

副作用が認められた場合、担当の医療従事者はベネトクラクスの投与を延期したり、用量を減らしたり、投与を中止したりすることがあります。

ベネトクラクスを服用すべきでないのは、どのような患者さんですか。

ベネトクラクスの服用を開始し、徐々に増量している間はTLSが増えるリスクがあるため、特定の薬剤を服用しないでください。
・処方薬、市販薬、ビタミン剤、ハーブサプリメントなど、服用している薬剤をすべて担当の医療従事者に伝えてください。ベネトクラクスと他剤が互いに影響し合い、重篤な副作用を引き起こすおそれがあります。
・担当の医療従事者に相談することなく、ベネトクラクス投与中に新たな薬剤の服用を開始しないでください。

ベネトクラクスを服用する前に、あなたの医学的情報をすべて担当の医療従事者に伝えてください。例えば、次のような場合です。
・腎障害がある。
・塩分または電解質(カリウム、リン、カルシウムなど)に問題がある。
・血中の尿酸値が高かったことがある、または痛風の既往歴がある。
・ワクチン接種を予定している。ベネトクラクスの投与前、投与中または投与後は担当の医療従事者が接種を認めるまで「生ワクチン」は接種しないでください。予防接種またはワクチンの種類について不確かな場合は、担当の医療従事者にお尋ねください。ベネトクラクス投与中は、このようなワクチンを安全に接種できない、または接種しても効果が得られないことがあります。
・妊娠している、または妊娠を計画している。ベネトクラクスは胎児に害を及ぼすおそれがあります。妊娠可能な場合、担当の医療従事者はベネトクラクス投与開始前に妊娠検査を行います。ベネトクラクス投与期間中と最終投与後30日間、効果的な避妊を行ってください。妊娠した、または妊娠したと思われる場合は、すぐに担当の医療従事者に伝えてください。
・授乳中または授乳を計画している。ベネトクラクスが母乳に移行するかどうかは不明です。ベネトクラクス投与期間中は授乳しないでください。

ベネトクラクス服用中は、どのようなことを避けるべきですか。
ベネトクラクスを服用している間は、グレープフルーツジュースを飲まないでください。また、グレープフルーツ、セビリヤオレンジ(マーマレードに使用されることが多い)またはスターフルーツを食べないでください。これらの製品や産物は血中のベネトクラクスの量を増加させる可能性があります。

ベネトクラクスの副作用は、どのようなものですか。

ベネトクラクスは重篤な副作用を引き起こすおそれがあります。例えば、次のような副作用です。
・白血球数低値(好中球減少症):白血球数低値はベネトクラクスでよくみられますが、重度になることもあります。担当の医療従事者は、血球数を調べるためベネトクラクス投与期間中に血液検査を行います。
・感染症:ベネトクラクス投与期間中に死亡に至った例や肺炎や血液感染(敗血症)などの重篤な感染症が報告されています。担当の医療従事者が綿密な観察を行い、ベネトクラクス投与期間中に発熱などの感染の徴候が認められた場合は直ちに治療を行います。
ベネトクラクスを服用している間に発熱や感染症の徴候がみられる場合は、すぐに担当の医療従事者に伝えてください。

CLL患者さんまたはSLL患者さんにベネトクラクスをオビヌツズマブまたはリツキシマブと併用したとき、もしくは単剤で投与したときの主な副作用は、白血球数低値、血小板数低値、赤血球数低値、下痢、悪心、上気道感染、咳嗽、筋肉痛、関節痛、疲労、腕、脚、手および足の腫脹などです。

AML患者さんにベネトクラクスとアザシチジン、デシタビンまたは低用量シタラビンをそれぞれ併用したときの主な副作用は、白血球数低値、悪心、下痢、血小板数低値、便秘、白血球数低値を伴う発熱、赤血球数低値、血液の感染、発疹、浮動性めまい、低血圧、発熱、腕、脚、手および足の腫脹、嘔吐、疲労、息切れ、出血、肺の感染、胃(腹部)の痛み、筋肉または背部の痛み、咳嗽、ならびに咽喉痛などです。

ベネトクラクスにより、男性の受精能に問題が生じることがあります。子どもをもうける能力に影響を及ぼす可能性があります。受精能について心配な場合は、担当の医療従事者にご相談ください。

上記は、ベネトクラクスによって生じる可能性がある副作用をすべて示したものではありません。詳細については、担当の医療従事者か薬剤師にお尋ねください。

処方薬の副作用をFDAに報告することが推奨されています。ウェブサイトhttp://www.fda.gov/medwatchにアクセスするか、1-800-FDA-1088に電話してください。

薬剤の購入が経済的に難しい場合は、www.medicineassistancetool.orgに問い合わせて支援を受けてください。

米国でのベネトクラクスの処方情報(投薬ガイドを含む)の全文はこちらでご確認いただけます。

ベネトクラクスの適応症および欧州における重要な安全性情報5

適応症
ベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組換え)の併用療法の適応は、1つ以上のレジメン治療歴がある成人の慢性リンパ性白血病(CLL)患者さんの治療です。

ベネトクラクス単剤療法の適応は、以下に該当するCLL患者さんの治療です。
・B細胞受容体シグナル伝達経路阻害剤が適していないか無効であり、染色体17p欠失またはTP53変異が認められる成人患者さん、または
・免疫化学療法およびB細胞受容体シグナル伝達経路阻害剤がいずれも無効であり、染色体17p欠失またはTP53変異が認められない成人患者さん

禁忌
有効成分またはいずれかの添加物に対する過敏症は禁忌です。また、TLSのリスクが高まるため、投与開始時および用量漸増期間中の強力なCYP3A阻害剤との併用も禁忌です。ベネトクラクスの効果が弱まる可能性があるため、セントジョーンズワート含有製品との併用も禁忌です。

重要な基本的注意と使用上の注意
治療歴があり腫瘍量の多いCLL患者さんにおいて、ベネトクラクス投与によりTLSが認められ、致死的事象も含まれています。ベネトクラクス投与により、最初の5週間の用量漸増期間にTLSが発生するリスクがあります。迅速な管理を必要とするTLSと一致した電解質の変化が、早ければベネトクラクス初回投与後6~8時間、あるいは各増量時に認められることがあります。リスクの有無を評価し、TLSに対する適切な予防措置、モニタリングおよび管理上の措置を講じる必要があります。

好中球減少症(グレード3または4)が報告されているため、投与期間を通じて全血球数をモニタリングしてください。死亡に至った敗血症を含む重篤な感染症が報告されています。感染症の徴候が現れた場合には、抗菌剤などの支持療法を考慮してください。

投与期間中、または投与期間終了後はB細胞が回復するまで、生ワクチンは接種しないでください。