オペラを楽しむには

 高尚なイメージが壁になりオペラには関心を持てずにいた。歌詞が外国語だと意味さえ分からない。時折声を張るのはいったいどういうことを伝えたいのか-▲プッチーニのオペラ作品「蝶々夫人」にしても、長崎が舞台の名作と知ってはいても敷居が高かった。しかし先日、青雲高出身の指揮者、伊藤玲阿奈さん(40)がオペラの良さを熱心に語る場面を取材し、興味がわいてきた▲「オペラの内容を何も知らない人が、長時間のオペラを聴くのは拷問」。ユーモアを交えながらも「クラシックで、例えばベートーベンの第九の背景にはフランス革命や自由の喜びがある。トロンボーンは天使の声。事前に知っていれば誰でも楽しめる」▲伊藤さんは「蝶々夫人」の映像を見せながら、ピンカートンやシャープレスら登場人物の心理をきめ細かく説明してくれた▲するとなんだか歌声やメロディーが感動を伴って胸にすっと入ってきた。知識があれば、もっと堪能できるものなのかもしれない▲来年3月、長崎市で開催予定の「マダム・バタフライ・フェスティバル」では、ナレーションや映像も加えて「蝶々夫人」を分かりやすく伝える親子向け「音楽ドラマ」を用意するという。これを観覧してから本番のオペラコンサートに臨めば、いっそう楽しめそうな気がしている。(貴)

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