「排水口の掃除がきらいな人ほど、マメに掃除することをおすすめします」
そう話すのは、ハウスキーピング協会の「クリンネスト(お掃除スペシャリスト)講座」の上級講師を務める白井佳子さん。
水が流れるから「ま、いっか」と、つい見て見ぬふりをしがちな排水口に溜まる汚れ。放置し続ければ自分の手に負えない事態にもなりかねません。
正しい手順について、“掃除のプロ”に聞きました。
毎日蓄積される排水口の汚れ
排水口のフタをおそるおそる開けた先にある汚れの正体は、髪の毛、シャンプーやボディソープなどの石鹸カス、皮脂汚れなど。お風呂に入るたびに排出される汚れなので、掃除を怠れば汚れはどんどん蓄積されていきます。
「お風呂は湿度も高く、あっという間にカビなどの汚れが広がりやすいのです。できれば排水口のゴミは毎日捨てて汚れを溜めないことが大切です」と白井さん。
排水口に溜まった汚れをそのまま放っておけば、水が流れなくなったり、ひどい場合には汚れがつまって排水トラップが取り外せなくなることも。
そうなる前に正しい手順でこまめに掃除することが大切です。プロのやり方を知れば、水あかやピンクヌメリなど落ちにくいと思っていた汚れを簡単に取り除くことができるかもしれません。
排水口掃除に必要な6つの道具
白井さんが推奨する、排水口掃除に欠かせないアイテムは以下の6点。
・塩素系洗剤(泡タイプ)
・お風呂用洗剤
・スポンジ
・毛先の長い両面ブラシ
・使い捨てのビニール手袋
・小さなビニール袋
塩素系洗剤は必ず泡タイプのものを選ぶといいそう。「泡タイプは、液体よりも汚れに密着してその場に留まるので、使用量は少量で済み節約にもつながります」
スポンジやブラシは、100円ショップなどで手に入るものでOK。排水口掃除に適した大きさのものを。「よく使い古した歯ブラシを再利用される方がいらっしゃいますが、それだと少し柔らか過ぎるので、もう少し強度があって毛先の長いブラシがおすすめです」
“塗りつけ放置”で大体落ちる?5つの手順
続いて、掃除手順について聞きました。塩素系洗剤を使って掃除をする場合は、必ず浴室の換気を欠かさずに。
(1)ビニール手袋を手にはめ、排水口のフタを空けて、ヘアキャッチャーから髪の毛や石鹸カスなどを取り除く。ゴミはビニール袋に入れて捨てる。
(2)排水口トラップなど、取り外しできる部品はすべて取り外す。排水口の仕組みは住居によって異なるので、どこまで取り外したらいいのか迷ったら必ずメーカーのホームページで確認を。
(3)泡タイプの塩素系洗剤をブラシにつけ、すべての部品にまんべんなく塗りつける。臭いのきつい塩素系洗剤は、使用量を少なくするために、排水口などに直接吹きつけるのではなく、ブラシで確実に汚れに塗りつけるのがポイント。このとき決してブラシでこすらないこと。塩素系洗剤がはねて目に入ったりしたら危険なので、こすらずにつけおきをする。
(4)5分後にシャワーで洗い流す。
(5)ヌメリが残っていたり、汚れが落ち切れていない場合は、お風呂用洗剤を使ってブラシやスポンジでこすり洗いをする。
大体の汚れは、塩素系洗剤のつけおきで落ちるといいます。
「こする必要はありません。洗剤に働いてもらうだけでOK。見逃しがちな排水口のフタの側面の掃除も忘れずに」
下水の逆流は「水嚢」で防ぐ
家庭の排水口は、下水につながっています。そのため、今年10月に大きな被害をもたらした台風19号の時のような大雨が降ると、地域によっては、下水道の排水処理能力が追いつかず排水口から逆流して下水があふれ出す「内水氾濫」が起こる危険があります。
万が一の状況に備えて、逆流を防ぐために何ができるのか。家庭でできる対策を教えてもらいました。
「大きなビニールに水をたっぷり貯めて“水嚢”をつくります。それを排水口の上に置けば逆流防止になりますよ。土嚢ではなく、水嚢にすることで、準備するときもその後の処理もラクになります」
毎日汚れが溜まる場所なのに、後回しにしがちな排水口まわりの掃除。プロのそうじ方法を試してみれば、意外と簡単で億劫ではなくなるかもしれません。
【取材協力】