わがまち回顧 島原支局 自主防災会強化に着手

形骸化した自主防災組織の見直しを図った安中地区の会議=4月22日、島原市大下町、安中公民館

 43人が犠牲になった1991年6月3日の雲仙・普賢岳大火砕流惨事を経験した島原市は、町内会単位でつくる地域防災組織「自主防災会」の強化に着手した。
 自主防災会は専門知識や経験を持つ消防・警察経験者らを代表に据え、地域防災力の向上を担う組織。市内では92年から93年にかけ、当時の全186町内会に設立され、組織率は県平均71.2%に対し100%(10月1日現在)になっている。
 一方、96年の終息宣言以降、代表は町内会長が兼務するなど形骸化。市によると、昨年度、市内227町内会・自治会のうち、専任の自主防災会長がいるのは30団体。大火砕流で甚大な被害に遭った安中地区でも33町内会のうち7団体という。
 災害の記憶の風化に危機感を募らせる市は、まず安中地区に働き掛け、実務経験者の自主防災会長への就任を後押し。先進地視察や研修会などに協力し現状改善を図った。他地区にも避難訓練の計画づくりや、詳細な避難ルートを盛り込んだ地区独自の防災マップ策定などを促す。来年11月は平成の最初の噴火から30年の節目。古川隆三郎市長は「機能的な組織に向け、取り組みを応援したい」と話す。

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