4強で唯一のJ2勢。失うものがないV長崎は鹿島に思い切ってぶつかり、敗れてなお鮮烈なインパクトを残した。先制されても、追加点を奪われてもしぶとく食らいつく。内容では昨年のアジア王者をむしろ上回り、最後まで番狂わせを期待させた。
リーグが終了してからの1カ月間、周到に準備していた奇策がはまった。チームは今季、ほぼ全て4バックで戦っていたが、この日は鹿島が苦手とする3バックを採用。スタメンに運動量豊富な若手を並べ、試合開始の笛と同時に勢いよく相手を追いかけ回した。
不運な失点が続いても下を向かず、布陣のギャップを突いて、両サイドの亀川、米田を起点に根気強く好機を探った。それが形になったのは前半37分。前線で畑、吉岡とつなぎ、最後はペナルティーエリア内に抜け出した米田が「迷わず打った」。GK曽ケ端の股を抜く技あり弾。待望の得点で反撃ののろしを上げると、後半31分には序盤から積極的に仕掛けていた澤田にもゴールが生まれた。
リーグ戦で12位に終わり、内容面でも消化不良の試合が続いた今季。最後は来季へつながる好ゲームで締めくくった。手倉森監督は「皆さんに国立の夢を見てもらいたかった。申し訳ない」とわびたが、その表情には興奮の余韻と、手応えがうかがえた。V長崎にとって大きな90分になった。
V長崎 追い上げ実らず 最後まで番狂わせの期待 来季へ大きな90分
- Published
- 2019/12/22 10:11 (JST)
- Updated
- 2019/12/22 15:12 (JST)
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