椎名林檎、ゴールデンボンバー、上坂すみれ、YOSHIKI、HYDE、三浦大知他...気鋭の文芸批評家と歌人の対談による軽快かつ繊細なJ-POP論発売!

2019年12月20日(金)、『J-POPの現在 I 〈生き難さ〉を超えて』(著者:川喜田八潮 、川喜田晶子)が発売となった。椎名林檎、 ゴールデンボンバー、 上坂すみれ、 YOSHIKI、 HYDE、 欅坂46、 EXILE、 三浦大知他、 話題のアーティストや楽曲が多数登場。 彼らの表現と時代の無意識がクロスする場所を読み解き、 〈現在〉の直面する課題とその超克への道筋をスリリングに語り尽くす。

現在の〈生き難さ〉とは何か、 それを超えるにはどうすればよいのか――そんなシンプルな問題意識を、 J-POPの作品から考えた1冊が発売となった。ヒットしているJ-POPの作品の一部には、 〈生き難さ〉の病理を精緻に吐き出し、 超えようとする、 優れた表現が多数認められる。 それらの作品群を精確に批評することで、 日々、 目に見えない〈生き難さ〉を抱えながら苦闘している多くの人々、 そして、 心に沁みる楽曲によってかろうじて日常を支えている人々にとって、 助けとなるような1冊になっていいる。

特に、 ここ数年のJ-POPの作品には、 時代の大きな変動を予感させるものが多く、 それらは、 純文学的な「書き言葉」の作品以上に、 〈現在〉を鮮やかに象徴している。 2000年代、 2010年代初めの楽曲に触れる場合も、 その現在性を重視して批評。紹介する楽曲については、 〈現在〉という時代が抱えている課題を超えようとする純粋な衝迫とパワーが、 どれだけ高精度で作品に込められているかで選んだとのこと。 それぞれを「独特の世界観」といった言い回しで片付けることなく、 作品に即しながら、 軽快・繊細に論じている。

著者はともに、 芸術系の大学で「詩」を解説する講義を担当。 そこで、 学生たちの「詩」作品にも触れることで、 彼らの無意識のフィールドワークを積み上げてきた。 無名の若者たちの無意識が、 どれほどの不条理感や病理にさいなまれ、 どれほど深刻な渇きを抱え込んでいるか、 生々しく痛感。 決して他人事では済まされない、 〈生き難さ〉の感覚としてのリアリティーを感じたとのこと。

第一線で活躍するアーティストたちの表現が、 そういう若者たちの深い渇きに真にクロスし得ているのかどうか見極め、 丁寧に批評した営みが本書。 ことに、 川喜田八潮の美大在職中の講義は、 学生たちの絶大な支持を集めてた。 「人間学」の講座において、 戦後のサブカルチャー作品の数々や、 近現代の作家や詩人たちの作品を対象としながら、 縦横無尽に語る熱血講義は、 アーティストを目指す、 あるいはアーティスティックな資質を持ちながら人生を漕ぎ渡ってゆこうとする学生たちに、 多大な影響を与えてきた。その情熱的な講義を、 素材をJ-POPに改めて、 対談形式の書籍という形に転生。

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