片渕監督、八丁座で舞台あいさつ

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広島市内の映画館で舞台あいさつする片渕監督(撮影・安部慶彦)
中国新聞のインタビューで旧陸軍被服支廠の保存を訴える片渕監督

 アニメ映画「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」の片渕須直監督が22日、公開を記念した舞台あいさつで広島市などを訪れた。戦時下の同市や呉市を舞台にした前作に、約40分の新たなシーンを加えた作品について「たくさんの(主人公の)すずさんに出会ってもらいたい」と呼び掛けた。

 広島市中区の映画館八丁座では、上映後の館内で、満員の観客から拍手と歓声で迎えられた片渕監督は「ただいま帰ってきました」とあいさつ。作品の完成が約2週間前だったと明かし、「またこの場所でお目にかかれてうれしい」と述べた。ロビーにはサインを求めるファンの長い列ができ、笑顔で応じていた。

 今作は、前作「この世界の片隅に」の大ヒットを受けて製作が決まり、20日に公開された。前作を映画館で10回ほど見たという同区の主婦西田弘子さん(48)は今作を鑑賞して「新たなエピソードで知らなかったすずさんに会えた。また見ます」と喜んでいた。

 ■片渕監督「旧被服支廠、存続させるべき」

 舞台あいさつで広島市を訪れた片渕監督は22日、市内最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(南区)の「2棟解体、1棟の外観保存」を打ち出した広島県の原案について、中国新聞の取材に対して全て保存すべきだとの考えを述べた。「(原爆投下の)生き証人の建物。実物がきちんと残ることが大事」とした。

 被服支廠を巡っては3棟を所有する県が「2棟解体、1棟の外観保存」との原案を示し、1棟を持つ国は保存に後ろ向きな姿勢をみせる。片渕監督は「人類全体で存続させるべき。原爆ドームほど意味合いが感じられないというなら、意味合いを訴えたほうがいい」と主張した。

 また、国や県が費用を出せない場合は「国民みんなでお金を出してでも、という道だってある。存続させるための道は真剣に考えれば必ず開ける」と強調した。(藤田龍治)