毎年数百匹駆除 シカの肉や皮 どう活用? 料理や雑貨作り体験 五島でイベント

シカ肉非常食グランプリで作られたつみれ汁やまぜご飯、ピザなど=五島市、玉之浦町公民館

 農業被害対策などのため、五島市内で毎年数百匹が駆除されているシカ。その肉や皮の活用策について考える「五島シカ肉祭」が22日、同市の玉之浦町公民館であった。参加者はシカ肉料理を試食したり、なめした革でストラップを作ったりして、楽しみながら有効な「使い道」を考えた。
 発案した市地域おこし協力隊員の野澤努さん(52)は、捕獲数が増えているシカを捨てずに有効活用することを目指す。野澤さんは災害で地域が孤立した場合にも、シカを「生きた備蓄食料」として役立てられないか検討している。
 市によると、昨年度は市内で約700匹のシカが捕獲されたが、一部が食肉用として市販された他は、大半が埋設処理された。本年度は10月までに800匹以上が捕獲され、3月までに千匹ほどに上る見込み。
 会場では地域住民らが、市内で捕獲されたシカのロースとバラ、モモの各部位を、炭火で焼いて来場者に提供。企画の一つ「シカ肉非常食料理グランプリ」では地元の食生活改善推進員らが、災害時でも作りやすいよう「調理30分以内」「よく熱を通す」などを条件に、シカ肉でつみれ汁やまぜご飯、カツなどを作った。
 革に金具を打ち込んだり、はんだごてで文字を焼き付けたりしてストラップを作るコーナーもあった。
 野澤さんは「シカが増え続ければ農業だけでなく交通事故なども増える恐れがある。シカ肉はきちんと処理すれば臭くも硬くもない。地域住民が自ら計画を立て、捕獲し解体して食べる力を付けてもらえれば」と話した。

シカ肉を炭火で焼く住民ら=五島市、玉之浦町公民館

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