「霜降りの優勝で奮起」令和の“シンデレラボーイ” ミルクボーイが「M-1」新王者に!

令和最初の漫才日本一を決める「M-1グランプリ2019」の決勝が12月22日行われ、過去4回準々決勝への進出経験を持つ結成12年目のコンビ・ミルクボーイが、エントリー総数5040組の頂点に立った。決勝ファーストラウンドで史上最高得点となる681点(700点満点)をたたき出した勢いのまま優勝をつかみ取り、第15代王者の座に就いた。

決勝に進出したのは、からし蓮根、ミルクボーイ、ぺこぱ、オズワルド、すゑひろがりず、ニューヨーク、インディアンス、見取り図、かまいたち。そこに敗者復活を果たした和牛を加えた10組。決勝のファーストラウンドは、笑神籖(えみくじ)で選ばれた順番に4分のネタを披露、審査員7人の合計得点によりトップ3組に絞りこみ、最終決戦として7人の審査員が一番面白かった一組だけに票を投じる方式で勝敗が競われた。

審査員の点数に90点台が続出するハイレベルな決勝を征したのは、ぺこぱ(654点)、かまいたち(660点)、ミルクボーイ(681点)の3組。決勝進出の常連、かまいたちは安定の王道漫才を見せつけ、ミルクボーイは審査員の松本人志いわく「行ったり来たり漫才」で、会場を笑いの渦に巻き込み高得点をたたき出した。さらに決勝のトリを飾ったぺこぱも、「ノリ突っ込まないボケ」と松本が表現した新しいスタイルで勝負をかけ、見事に最終決戦へと駒を進めた。そして最終決戦でも、それぞれのスタイルで渾身(こんしん)のネタを披露した3組。実力伯仲の激戦となったが、松本を除く審査員の6票をもぎ取ったミルクボーイが、ファーストラウンドを史上最高得点で1位通過した勢いのまま、決勝初進出にして劇的な初優勝を果たした。

優勝後の会見で、「テレビで漫才をするのは今年初めてで、テレビに出るのは今年4回目」と語るほどの、まさに“シンデレラボーイ”と言っていい展開に、まったく優勝の実感が湧いていない様子のミルクボーイの駒場孝と内海崇。「デビューして2010年までは、M-1を目指してやってたんですけど、M-1が終わったら目標を見失ってしまい、4年くらいサボってました。お笑いをまったくやらず、新ネタも作らず趣味のギャンブルに明け暮れてたんです」という2人だったが、2015年にM-1が復活すると再びやる気を取り戻し、ライブなども精力的にこなしてきたという。内海は今回の優勝について、「今年はバイトと仕事以外、趣味の時間もすべてネタ合わせにつぎ込みました。ネタ合わせが終わった後も、気になるところは連絡を取り合って修正していきました」と述べ、すべてをM-1にかけた情熱の結晶であることを明かした。

またその原動力となったのが、昨年の覇者・霜降り明星の存在だったという。「僕らより後輩で優勝したのは、霜降り明星が初めてだったので、そういう意味では全芸人が刺激を受けたと思うんです。お笑い第7世代と呼ばれる若い芸人に負けないよう奮起しました」と語る。“今日を境に仕事が増える”と振られると、内海は「漫才ばかりをやっていたので、それ以外がボロボロで(笑)。皆さんも不安だと思いますけど、イチからまた頑張ります!」と意気込みをのぞかせ、一方の駒場は、「漫才も、もっと面白くできるように続けていきます」と漫才への尽きない思いを語った。そして、気になる優勝賞金の使い道について、内海は「角刈りをいつも切ってもらっている散髪屋さんに『角刈り専用台』を設置したい」とコメント。一方の駒場は、結婚出産のお祝いを渡せていない後輩に恩返しをしたいと述べ、優勝会見を締めくくった。

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