開門調査訴え大規模視察 諫早湾干拓事業 請求異議訴訟差し戻し審へ 運動を再構築

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諫早湾を視察する有明海沿岸4県の漁業者や議員ら=諫早市、潮受け堤防展望所

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門調査を求め、長崎県を含む有明海沿岸4県の漁業者や議員らが23日、諫早湾や諫早市の干拓農地を訪れ、漁業不振などの実態を視察した。長崎県を除く3県で停滞ぎみだった開門支援運動を再構築する狙い。来年2月から始まる請求異議訴訟差し戻し審に向け、参加者は開門調査の必要性を唱える世論を高める方針を確認した。
 「よみがえれ!有明訴訟」を支援する全国の会が主催。田村貴昭衆院議員(共産・比例九州)や4県の県議7人ら約140人が参加。同会によると、大規模な現地視察は過去に例がない。
 潮受け堤防から湾を見渡せる展望所では諫早、雲仙、島原各市と佐賀県の漁業者が調整池の排水影響で養殖ノリが生育不良に陥っている状況などを説明。干拓農地では、野鳥による農作物被害を訴える営農者の訴えに耳を傾けた。
 2010年12月の開門確定判決の履行を強制しないよう、国が漁業者に求めた請求異議訴訟で、福岡高裁は18年、確定判決を事実上無効化した。しかし、最高裁は今年9月、同高裁判決を破棄、差し戻した。
 確定判決は13年12月から5年間の開門調査を命じたが、履行されない状態が今月20日で丸6年となった。一方、国は17年、「非開門で漁業振興基金での和解」を表明したものの、和解への道筋は一向に見えない。
 漁業者側弁護団の馬奈木昭雄団長は視察後、「差し戻し審で国は『開門確定判決の強制は権利乱用』と主張しても、事実をありのままに見れば、国の主張はフェイク(偽物)だ」と話した。2月21日の第1回口頭弁論には、4県300人の結集を呼び掛けている。