片渕監督、被服支廠の全棟保存訴え 被爆建物、現地を見学

©株式会社中国新聞社

内藤会長代行(左)から被服支廠の歴史などについて説明を聞く片渕監督

 アニメ映画「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」の片渕須直監督が23日、広島市内最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(南区)を訪れた。広島県が示す「2棟解体、1棟外観保存」の原案に対し「人の長い歴史の一部を、今壊してしまう恐ろしさについて考えてほしい」と、改めて全棟保存を訴えた。

 片渕監督は市民団体「旧被服支廠の保全を願う懇談会」の内藤達郎会長代行(78)たちから、原爆投下後に救護所となったことや、戦後は大学や民間企業の施設にも使われた歩みなどを聞いた。建物を見て歩きながら、れんがの壁や鉄扉に実際に手を触れてみたり、写真に収めたりしていた。

 片渕監督は「僕らは映像で戦前や戦中のことを語るが、映像は触れられない。この建物は20年、30年先の人たちが必要とするものだ」と保存の意義を強調。県が解体理由の一つに挙げる保存費用については「人類のために残すなら、広く費用を募る手もある。その努力をする前に『無理だ』と言うのはおかしい」と訴えた。

 片渕監督は映画公開を記念する舞台あいさつで広島市などを訪問。被服支廠の見学を希望し、案内を受けた。