【医師監修】子供が寝ない原因は?スムーズな入眠のための7つのポイント

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この記事の監修ドクター
梁 尚弘先生
りょうキッズクリニック(埼玉県所沢市)院長。平成10年順天堂大学卒業後、日本大学小児科研修医、沼津市立病院小児科、横須賀市立市民病院小児科、日本大学小児科助教、瀬戸病院小児科医長を経て現在に至る。小児科専門医。

子供は1日にどれくらい眠るの?

新生児期の赤ちゃんはまだ睡眠のリズムが定まらず、1~4時間くらい眠ってはおなかがすいたりおむつが汚れるなどで目を覚まし、1~2時間起きているというリズムをくり返します。まだ昼夜の区別はついておらず、日中と夜の睡眠時間はほぼ同じで、1日の睡眠時間は合計16~20時間くらいです。

生後3ヶ月ごろになると昼夜の区別がつき始め、3~4時間まとめて眠るリズムがだんだんできてきます。このころになると1日の睡眠時間は14~15時間と、新生児期よりやや短くなります。

生後6ヶ月には昼夜の区別がはっきりしてきて、夜に6~8時間まとめて眠り、日中1~2回の昼寝を含めて1日の睡眠時間は13~14時間に。また、生後9ヶ月ごろには、全睡眠時間のうち7~8割を夜にまとめてとるようになってきます。

1歳過ぎると、1日の睡眠時間は合計11~12時間くらいになり、3~6歳の幼児期になると、10~11時間とさらに短くなります[*1]。

子供の睡眠はどのように変わる?

1日の睡眠時間は新生児期の16~20時間からだんだん減っていき、学童期(小学生)では1日8~10時間くらいになりますが、睡眠中の状態も成長につれて変わっていきます。

睡眠中の状態は、「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」という2つに分けられます。ノンレム睡眠は脳波の活動が低下し深い眠りに入った状態です。レム睡眠のときには、脳波の活動がわりあい活発で夢をよく見たり血圧や脈拍が変動して、眠りが浅い状態になります。

新生児期には、1日の睡眠時間のうちレム睡眠とノンレム睡眠が占める割合はほぼ半々ですが、レム睡眠は成長するにつれて減っていき、2~3歳ごろになると激減して睡眠時間全体の25%となり、深い眠りのノンレム睡眠が大部分を占めるようになります[*2]。

睡眠と覚醒のリズムを見ると、新生児期は昼夜の関係なく短いサイクルで眠ったり起きたりをくり返していますが、3ヶ月ごろから昼夜のリズムがついてきて、だんだん夜にまとめて眠るようになっていきます。また、昼寝の回数や時間も減っていき、3~6歳の幼児期にはたいてい昼寝をしなくなるでしょう。

ちなみにアメリカで行われた調査では、昼寝をとらない子供の割合は2歳で19%、3歳で43%、4歳で74%、5歳で85%、6歳で97%という結果がでています[*3]。

子供の寝つきが悪い原因は?

最近は夜になってもなかなか寝ない子が増えていて、子供の4~5人に1人は睡眠リズムが乱れていたり、睡眠障害などのトラブルを抱えているとされています[*4] 。子供の寝つきが悪いのは、以下のような原因が考えられます。

昼寝時間が遅い、または長い

月齢が低いほど、夜間の睡眠に加え昼寝(午睡)をします。これは発達の上で自然なことですが、夜にまとめて眠れるようになってくるころには、昼寝の必要性が低くなります。夕方に眠るなど昼寝の時間が遅めだったり、昼寝が長すぎたりすると、就寝時間が遅くなるなど夜の睡眠に影響が出やすくなります。

活動量不足

早起きの子供、早く寝る(21時前)子供はそうでない子に比べて、身体活動量が多いという報告があり、「日中のどれだけ体を動かしたか」も睡眠習慣に関連しているとされています[*5] 。

日中や寝る前の興奮

興奮が原因で、子供の寝つきが悪くなることもよくあります。昼間に外出して初めての経験をした、寝る前にパパや兄弟などと体を使った激しい遊びをした、などで、子供は思った以上に興奮してしまい、なかなか寝つけなくなることがよくあります。また、テレビやスマホ、タブレットなどから発せられるブルーライトも、夜間に目に入ることで睡眠の質を下げるとされています[*6] 。

親の生活リズムの影響

親の生活リズムは、子供の睡眠に大きく影響します。日本は特に、親子が同じ寝室で眠ることが多いので、親が夜更かしだと子供もそれに合わせた夜型の生活リズムになりやすく、就寝が遅めになりがちです 。

不規則な生活リズム

私たちの体は体内時計がセットされていて、朝、明るくなると目覚め、明るい光を浴びて約14時間たつとだんだん眠くなるようになっています[*4] 。毎日の生活リズムが不規則だと、この体内時計がうまく働かなくなり、寝つきや目覚めの時間もより不規則になってしまいます。

睡眠障害の可能性

布団に入ってもなかなか寝つけない、夜中によく目を覚ます、寝苦しそうだ、ということは何らかの原因で睡眠が妨げられていることが考えられ、睡眠障害の可能性があります。

睡眠障害としては以下のようなものがあります。

・睡眠時無呼吸症候群:眠っている時に激しい“いびき”や呼吸が苦しそう
・睡眠時遊行症(夢遊病): 就寝後に起き上がる、歩く、声を出す
・ストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群、下肢静止不能症候群)
:就寝前や夜間に脚(または手)に不快感がある[*7]
・夜驚症:驚いたようにギャーッと泣いて起き、そのまま激しく泣いてずっと泣き止まない

上記のようなことが見られたら、小児科で相談しましょう。

寝つきをスムーズにするための7つの対策

では「夜、なかなか寝ない子供」に対して、具体的にはどのようなことを心がければいいのでしょうか。7つの対策をご紹介します。

1. 朝7時までに起こして朝日を浴びさせる

生後3~4ヶ月ごろまでは難しいですが、少しずつ夜にまとめて眠るようになってきたらできるだけ早寝早起きの規則正しい生活リズムを心がけましょう。毎日、同じくらいの時間に起きて寝るという早寝早起きの生活を続けていると、朝型の生活リズムがしっかりついてきて、夜の寝つきも朝の目覚めもよくなることが期待できます。

早寝・早起きの生活リズムを作るには、特に早起き、朝決まった時間に早起きさせることがポイントです。前日の就寝時間が何時であっても、朝は7時ごろまでに起こす習慣をつけましょう。

朝になったらカーテンを開けて太陽の光を室内に入れ、時間になったら子供に「おはよう!朝だよ」などと声をかけます。人間の体内時計は、24時間より少し長いサイクルとされているのですが、朝日を浴びることで体内時計が整い、ひいては早寝早起きにつながることが期待できます 。最初は多少ぐずったとしても、早起きを1週間ほど続けると子供の体内時計が朝型になり、自然に早く目覚めて夜も早く眠りにつけるようになっていくでしょう。

2. 日中はたっぷり外で遊ばせる

お天気がよければ、散歩に出たり公園に行ったりしましょう。特に、午前中に外に出て太陽の光を浴びれば、体もしっかり目覚めます。また、思い切り遊ぶことで、心地よく疲れて寝つきがよくなりぐっすり眠れるようになります。

天気の悪い日や気候がよくない時期には、買い物に行ったり、児童館や支援センターに行くのもいいですし、室内で親子一緒に体を使った遊びをするのもでいいですね。

3. 昼寝の時間帯や長さに注意する

夜にまとまって眠れるようになったならば、早寝のためには、昼寝の時間帯や長さには注意しましょう。午前中に外でたっぷり遊ばせて昼食がすんだら早めに昼寝をさせ、午後3時 までに起きるようにするといいでしょう。

また、昼寝の有無にかかわらず、一日の総睡眠時間は大きく変わらないとされています 。子供が寝ているとママは家事がはかどり楽かもしれませんが、長すぎる昼寝は夜の就寝に影響します。昼寝の長さに関しては、子供自身や年齢によって異なり、一概には言えませんが、夜の寝つきや熟睡の様子によっては、昼寝の時間を少しずつ減らしてみましょう 。

4. 就寝前は静かに過ごす

寝る前に興奮しないよう、入浴後は静かに落ち着いて過ごすようにしましょう。少し明かりを落とした室内で、絵本を読むなどしてリラックスし、自然に眠くなるような雰囲気作りをします。

5. 入眠儀式を決める

就寝前には、「これをしてから眠る」というルーティンのようなものを決めることも、スムーズな眠りに入る効果があります。これを「入眠儀式」と言いますが、たとえば絵本を読む、ママに歌を歌ってもらうなどでもいいですし、お気に入りのタオルなど特定の物を持って布団やベッドに入るのでもいいでしょう(ただし、就寝中の窒息などには気を付けましょう)。

また、特に決まった入眠儀式がなくても、入浴から就寝まで毎日決まった時間に決まったことをする、というのでもいいのです。入眠儀式をしたり、毎日同じ動きをすることが習慣になると、「〇〇をしたらねんね」と子供も自然に布団に入って眠れるようになります。

6. 就寝環境を見直す

夜は入浴がすんだら、子供が就寝モードに入れるように寝室の環境を整えることが大切です。睡眠と目覚めのリズムは体内時計によって維持されていますが、外から入る光の刺激が強すぎると体内時計の働きが乱れ、睡眠のリズムに影響を与えやすくなります。

夜になるとメラトニンというホルモンが分泌されますが、これは体内時計を調節し、体温を下げて眠気を引き起こす働きがあります。けれども、強い光の刺激を受けるとメラトニンの分泌が妨げられてしまい、「日中起きていて夜は眠る」というリズムのバランスが崩れてしまうのです。そこで、子供が寝る前に室内の照明が明るすぎないか見直し、テレビやスマホ、タブレットから遠ざけることが必要です。体が睡眠モードに入っていくためにも、子供にそろそろ寝る時間とわからせるためにも、寝る時間が近づいたら寝室を薄暗くしましょう。寝室の照明は少し赤みを帯びた光にすると、気分が落ち着かせる効果があります。

また、室温も快適な温度になるよう調節しましょう。夏の暑い時期や冬の寒い時期などは、エアコンを使うなどして子供が気持ちよく眠れる環境にします。

7. 親の生活リズムを見直す

子供が健康に成長するためには、年齢に応じて必要な睡眠をとり、早寝早起きの規則正しい生活を送ることがとても大切です。保護者の睡眠習慣は子供へ影響します。親が夜型の生活をしていて、いつまでも室内を明るくしていたりテレビをつけていたりする場合は、生活リズムを見直しましょう。

また、保護者の情報通信機器(パソコンやスマホなど)の使用時間の長さは、保護者だけでなく子供の睡眠にも影響するという調査結果があります[*1] 。

子供の睡眠習慣を整えるためには、まずはママ・パパが自分の生活リズムや睡眠習慣について意識することが必要です。

まとめ

子供のタイプによっては、なかなか寝ない子や、短時間しか寝ない子もいるかもしれません。早寝早起きのために、上記の7つの対策を試しても効果がないときや、寝ない原因がわからないときには、かかりつけの小児科で相談してみましょう。必要なら、小児睡眠外来などの専門医を紹介してもらうといいですね。

(文:村田弥生/監修:梁尚弘先生)

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