警備・接客・掃除、実店舗で活用されるサービスロボット達 ―2019国際ロボット展レポート8

2019国際ロボット展のレポートも第8弾となる。

工場内でのロボット活用についての紹介がメインであったが、本レポートでは日常の中で活用されるサービスロボットについて紹介していく。

既に販売が開始され店舗や施設で活用されているもの、来年中リリースのもの等、サービスロボットの交通機関や商業施設、飲食店等での活用が広がりつつある。

サービスロボットの多くは、工場内のようにどのロボットがどの動きをするのかを知っている作業員だけが出入りする空間ではなく、子どもからお年寄り、その他不測の事態が起きる可能性の高い公共空間で活用されるため、自律走行をするロボットについては危機管理や安全対策を徹底する必要がある。

[自律走行ロボットについての参考記事]
ロボットが自律走行するために使われる「SLAM(スラム)」とは

オムロン、掃除・警備・案内の3役をこなす自立走行ロボット

ティーチングにより清掃・警備ルートを記憶する

オムロンがサービスロボットゾーンで展示していたのは掃除・警備・案内の三役をこなすロボットだ。

同ロボットの利用方法は最初に人が操作することでルートを登録し、次回以降はそのルートに沿って自律走行で巡回する。また登録した複数のルートを組み合わせるなどの操作が本体についているタッチパネルで簡単に設定できる。

ルート内に障害物があった場合でも、検知したうえで障害物をよけて進むことが可能だ。

担当者によると、案内や掃除、警備というだけの自律走行ロボットはあるが、それでは稼働時間が24時間の内夜間だけ、昼間だけとなってしまい、投資対効果が出にくいという課題があった。

そこで、同ロボットでは1台に3種類(案内・掃除・警備)の機能を持たせ、昼~夜まで活用することを可能とした。ロボットの休止時間を減らしたことで、従来よりも投資対効果を得ることができると期待されている。

同ロボットは、来年2020年5月頃に販売を開始する予定だ。

パナソニック、サイネージ搭載型自律搬送ロボット「HOSPI Signage」

パナソニックブースでは本年2019年5月に受注を開始している「HOSPI Signage」の展示もあった。

HOSPI自体は病院内での薬剤・検体等の運搬を目的として開発された自律搬送ロボットであるが、HOSPI Signageは3面サイネージを搭載したことにより、遠隔コミュニケーション機能(TV会議システムを搭載することでHOSPI近辺の人と対話が可能になる)、案内表示機能など、さらに活用の幅が広がっている。

サイネージは自己位置情報によるコンテンツ切り替えが可能になっているため、移動しながらもロケーションに合ったコンテンツ提供ができる。

また、HOSPIシリーズの特徴として、エレベータでの移動がある。エレベータを自動呼出し、乗り降りが可能になっており、人の助けを借りることなく別の階へ移動できる。また自動ドアの通過も可能だ。(※)

※ エレベータでの移動、自動ドアの通過には機器間の通信のためのネットワークや制御するためのシステムが必要となる

狭い店舗でも利用できる配膳ロボット「エイカ」

株式会社パンゴリン・ロボット・ジャパンでは配膳を行うサービスロボット「エイカ」「エイミー」を展示していた。

同社ロボットは日本国内では焼肉屋、居酒屋、ファミリーレストラン、温泉施設で配膳ロボットとして導入されている。

利用客が料理を受け取ったら、前面についているタッチパネルの受け取り確認をタップしてもらうことで受領確認とし、次の場所へ向かう。
狭い店内でも人や障害物を避けつつ目的のテーブルまで配膳する。

また、テーブルから呼び出しボタンでエイカを呼び出し、食べ終わった皿を下げてもらうことも可能だ。

立っている人に近い高さの配膳ロボット「エイミー」

また人に近い高さのエイミーはレストランでの配膳、立食パーティーなどでのフィンガーフードのサーブ等に使用されている。

ここまでは自律走行するサービスロボットを紹介してきたが、次に人が遠隔で操作するサービスロボットを紹介する。

3Dプリンターで作られた「OHMNI ROBO」

株式会社ISO総合研究所は「OHMNI ROBO(オムニロボ)」ブースを出展していた。

OHMNI ROBO(オムニロボ)はパソコン・スマホ等から遠隔操作することが可能なロボットだ。上部に取り付けられた画面に操作側のカメラの映像を映すことができ、離れた相手でもOHMNI ROBOを通して会話することが可能となっている。

OHMNI ROBO最大の特徴は、3Dプリンターで作られている点だ。

ニーズに合わせた形状・色のカスタマイズが可能になっており、金型等を使って製作されるロボットよりもコストを抑えて導入することが出来る。

活用事例としては、倉庫内での在庫管理や作業員の見守り、不動産での遠隔内覧、展示会での集客等が挙げられていた。

OHMNI ROBOはスタンダードプランでは30万~導入が可能になっている。

ロボットの遠隔操作で家事支援「ugo(ユーゴー)」

Mira Robotics株式会社は今年2019年2月に発表した家事支援サービス「ugo(ユーゴー)」を展示していた。

家事代行サービスには鍵の受け渡しをしなければならない、他人を家に入れなければならない等の心理的なハードルがあった。

ugoは遠隔から2本のアームを操作することが可能で、実際に人が来ることなく家事の支援を行うことができる。

遠隔操作で洗濯物をたたむugo

白いアームの部分が移動することで低い場所での作業にも対応している。

また、家事だけでなく店舗・物流倉庫での活用やビルメンテナンス、マンション管理等での活用も期待されている。

ugoの操作はインターネット環境とPC、コントローラーがあればトレーニングプログラムを受けることで誰でも業務が可能になっているため、例えば深夜の時間帯でも現地時刻が昼の海外のオペレーターをアサインすることが可能で、雇用の柔軟性につながるとしている。

また、ugoにはモーションAIが搭載されており、動作を学習し、学習した作業をコマンドとして登録することが出来る。

全てを人が操作するわけではないため、半自動・一人のオペレーターによる複数台の並列稼働が可能になっている。

ugoは現在2020年内の発売を目標に開発を進めている。

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