教皇の言葉改めて

 24日夜、長崎市のカトリック教会の降誕祭に参加した。11月にローマ教皇フランシスコが長崎を訪問した後の教会の重要行事であり、司祭がどのような話をするのか聞きたかったのだ▲司祭は、長崎での教皇の笑顔と祈る姿と、平和と愛を訴える姿を振り返り「イエス様の姿をほうふつとさせる」とし、「世界中を魅了し、多くの人を励まし、癒やしている」と語った▲降誕祭はイエス・キリストの生誕を祝う祭典で、「救世主」が貧しい家庭の子どもとして生まれた意味に思いを致す機会でもある。それは、人間は無力で弱い存在だが、愛の力で成長し、平和をつくることができるという教えであると、カトリック信者の端くれである筆者は考えている▲教皇が残した言葉を思い出す。「核なき世界」の実現を呼び掛ける中で自然破壊や貧困への懸念も表明、「心を痛めている何百万という人の苦しみに、無関心でいてよい人はいない」と訴えた▲今回の来日のテーマは「すべてのいのちを守るため」だった。教皇の言動は一宗教の枠を超えたものと言えるが、各国の指導者の胸にどれだけ響いたかは分からない▲確かなことは、発信地となった長崎で被爆者や、核兵器廃絶に取り組む人々が勇気を得たことだろう。平和をつくる営みが広がることを期待せずにおれない。(久)

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