「勝ち続けたい」 eスポーツ「鉄拳」世界王者 諫早出身プロゲーマー・チクリン選手

「もっと強くなりたい」と話すチクリン選手=長崎新聞社

 eスポーツの対戦型格闘ゲーム「鉄拳7」のワールドツアー決勝大会が8日、タイの首都バンコクで開かれ、長崎県諫早市出身のプロゲーマー、チクリン選手(30)=本名・嵩(たけ)裕太さん=(Team遊ING所属)が日本人初優勝を果たし、賞金約800万円を獲得した。「日本から現地に来た応援団が祝福してくれてうれしかった」と話している。
 ワールドツアーには世界各国からプロアマ含め約5万人がエントリー。決勝大会は、1年を通して世界各地で開催されるポイント制の認定大会で結果を残した19人と、最終予選で優勝した1人の計20人が出場。リーグ戦とトーナメントで競った。ポイントランキング5位で臨んだチクリン選手は、決勝で韓国の若手Ulsan(ウルサン)選手と対戦。コンボと呼ばれる連続技を狙う戦法で圧勝した。「優勝した瞬間は実感が湧かず、夢かと思った」
 大会で勝ち抜くために強豪選手が多いパキスタンに遠征し、武者修行も行った。「毎日8、9時間練習し、その後の2時間は実力者の試合の動画を見て技の研究をしてきた」と優勝までの道のりを振り返る。
 チクリン選手は子どもの頃からゲームセンターの格闘ゲームで遊ぶのが好きだった。「世界一強くなりたい」との思いから「鉄拳7」で腕を磨き、2016年にスポンサーが付くプロとして活動。大会などに出場したが、成績はふるわず1年でスポンサー契約は終了した。それでも「夢を諦めたくない」と奮起。2018年10月に日本eスポーツ連合のプロライセンスを取得。翌2019年2月から、eスポーツ事業を手掛けるひぐちグループの遊ING営業部(長崎市)に入社し、プロ選手として活動している。
 「ゲームを通じて友人ができたりするeスポーツの魅力を長崎から発信したい」と話す。目標は世界大会連覇。「ずっと勝ち続けたい。今で満足せずにもっと強くなれるように頑張りたい」

優勝トロフィーを抱え喜ぶチクリン選手=タイ・バンコク市内(遊ING提供)

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