首里城正殿焼け跡から露出遺構 30年前発掘後埋め戻されず 火災でがれきが流入

 沖縄県那覇市首里当蔵町の首里城正殿の焼け跡から、約30年前に行った発掘調査の際、埋め戻されていなかった石組みの遺構1カ所が新たに確認された。県が11月から随時行っている遺構調査で分かった。火災によって遺構にはがれきが流れ込んで埋まった状態になっており、今後、文化庁の助言を仰ぎながら対応を検討する。

 遺構は首里城復元前に行われた発掘調査の前に、城のほぼ全域にわたって広がっていることが確認されていた。復元する際、正殿と北殿の各1カ所で遺構を見ることができるように土を埋め戻さず、床の一部をガラス張りにしていた。今回、正殿が焼失したことで露出部分がもう1カ所あることに気付いたという。

 県によると、露出が確認された遺構は正面から見て正殿の右奥部分にあり、大きさは縦1メートル80センチ、横1メートル30センチ、深さ1メートル80センチ。現在は風雨にさらされないように応急措置としてシートで覆っているという。

 ガラス張りにした2カ所以外になぜ、埋め戻していない部分があったのかについて県教育庁文化財課の浜口寿夫課長は「分からない」とした上で、「埋め戻していない部分が他にあることは把握もしていなかった。がれきも流れ込んでいるので、文化庁とも相談しながら保存状態を調査したい」と話した。

 再建前の発掘調査に関わった沖縄考古学会会長の上原靜沖縄国際大学教授は「ガラス張りにして見えるようにした2カ所以外の遺構は、保護のため全て埋め戻す計画だったと理解している。理由は分からない。影響も現時点ではなんとも言えないが、状態を調べる必要がある」と述べた。

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