キッチンの排水口、プロが教える「正しい掃除手順」と「長持ちさせるコツ」

フライパンやお皿についた油よごれをそのまま排水口に流していませんか? 知らず知らずのうちにしていることが、実は排水管を劣化させることにつながっているかもしれません。

定期的な掃除とちょっとしたひと手間を加えるだけで、排水口をきれいに保つことができ、排水管の劣化も防げるといいます。

正しい掃除手順と排水管を長持ちさせるコツについて、ハウスキーピング協会で講師を務める“掃除のプロ”に話を聞きました。


キッチンの排水口、どれくらの頻度で掃除する?

生ゴミは毎日ちゃんと捨ててるのにシンクからイヤな臭いがしたり、洗い物をしたときに水の引きが悪くなるのは、排水口掃除が必要なサインです。

「最低でも週に1回は排水口の掃除をしましょう」と話すのは、ハウスキーピング協会で「クリンネスト(お掃除スペシャリスト)講座」の上級講師を務める白井佳子さん。プロの掃除手順を教えてもらいました。

使い古した歯ブラシはNG?必要なそうじ道具

キッチンの排水口掃除をする前に用意するアイテムは以下のとおり。

・塩素系洗剤(泡タイプ)
・キッチン用洗剤
・スポンジ(大きめ)
・毛先の長い両面ブラシ
・使い捨てのビニール手袋
・小さなビニール袋
(・パイプクリーナー)

塩素系洗剤は、必ず泡タイプのものを選ぶといいそう。「泡タイプは、液体よりも汚れに密着してその場に留まるので、使用量は液体のおよそ3分の1程度で済み、節約にもつながります」

スポンジやブラシは、100円ショップなどで手に入るものでOK。必ずキッチンの排水口の穴に落ちたりしない大きさのものを選ぶこと。

「使い古した歯ブラシや、布きれを割り箸に巻きつけてブラシ替わりにする人もいますが、もし手をすべらせて排水口の穴に落としてしまったら、専門業者を呼ばなければならない事態になりますから避けた方がいいでしょう」

“塗りつけ放置”で大体落ちる?6つの手順

続いて、掃除手順について聞きました。塩素系洗剤を使って掃除をする場合は、必ずキッチンの換気を欠かさずに。(※キッチンにディスポーザーが装備されたマンションでは、塩素系洗剤を使えないことがあります。取扱説明書に記載された掃除方法をご確認ください)

(1)受け皿から生ゴミなどをすべて取り除き、ビニール袋に入れて捨てる。

(2)排水口トラップなど、取り外しできる部品はすべて取り外す。排水口の仕組みは住居によって異なるので、どこまで取り外したらいいのか迷ったら必ずメーカーのホームページで確認を。トラップを取り外すと、排水口から下水の臭いが湧き上がってくるので、穴に落ちない大きさのスポンジをフタにして置く。

(3)ビニール手袋をして、泡タイプの塩素系洗剤をブラシにつけ、すべての部品にまんべんなく塗りつける。臭いのきつい塩素系洗剤は、使用量を少なくするために、排水口などに直接吹きつけるのではなく、ブラシで確実に汚れに塗りつけるのがポイント。このとき決してブラシでこすらないこと。塩素系洗剤がはねて目に入ったりしたら危険なので、こすらずにつけおきをする。

(4)ブラシが届かない場所や排水口の奥は、洗剤を直接吹き付ける。

(5)5分後に洗い流す。

(6)ヌメリが残っていたり、汚れが落ち切れていない場合は、キッチン用洗剤を使ってブラシやスポンジでこすり洗いをする。排水管の内部、手の届かないところの汚れがひどい場合はパイプクリーナーを活用。

大体の汚れは、塩素系洗剤のつけおきで落ちるといいます。

「こする必要はありません。洗剤に働いてもらうだけでOK。見逃しがちな各部品の細い溝部分の掃除も忘れずに。パイプクリーナーの使用頻度をなるべく抑えるためにも、マメに掃除して汚れを溜めないようにしましょう」

油よごれはできるだけ排水口に流さない

キッチンの排水管を長持ちさせるためには、排水口の掃除はもちろん、油よごれや生ごみのカスなどをむやみに流さないということも大切です。

白井さんによると、排水口に流した油は冷えると排水管にくっついて固まり、つまりの原因になります。また油よごれや調理カスなどが多く流れると、処理施設に大きな負担がかかるといいます。

「カレー鍋や油を使ったフライパンなどは、油よごれをクロスやヘラでよく拭きとってから洗いましょう。そうすると、洗剤の量も、すすぎに使う水量も少なくて済むので、節約にもエコにもなりますよ」

また“排水管の汚れ落としに毎日熱湯を流す”というのも実は誤りだそう。

「排水管がステンレスなど金属製の場合は問題ありませんが、最近の住宅は塩化ビニル製のものを使用していることが多いので、その場合、耐熱性が弱いため熱湯を頻繁に流すと劣化が早まるといわれています」


つけおきだけの簡単な作業で排水口を清潔に保つことができ、洗い物をする前のひと手間で排水管の持ちをよくできる、プロのやり方。節約、節水、エコにもつながるので試してみてはいかがでしょうか。

【取材協力】

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