LUNA SEA「CROSS」リリース!バンドサウンドを支えるJと真矢が結成30年のメモリアルイヤーに思うこと

LUNA SEA「CROSS」リリース!バンドサウンドを支えるJと真矢が結成30年のメモリアルイヤーに思うこと

結成30年を迎えたメモリアルイヤーに、通算10枚目となるオリジナル・アルバム「CROSS」をリリースしたLUNA SEA。バンドサウンドを支えるJと真矢に、最新作について、そしてメンバーについて聞いた。

──「CROSS」はオリジナルとしては通算10枚目のアルバムですが、節目の作品だという意識はありましたか?

真矢「僕なんかは、そんなに10枚目だからって意識はなくて。それよりも9枚目を超える、過去を超えるような作品を作りたいなと常に思ってましたね」

J「バンドって結構、ライブをやったり音源を作ることによってバンドの節目を刻んでる感じはあって。今回は10枚目と結成30周年というタイミングも重なって、無意識のところでも、今までの自分たちに挑むような気持ちはあった気はしますね」

──作品を作る際は、LUNA SEAらしい音楽と新たな挑戦とのバランスをどのように取っているのでしょうか。

J「なんて言えばいいのかな。バンドって進化していくのを定められた生き物みたいなもんで、ずーっと同じ場所で留まることはできない生き物だと思うんですよ。でも僕たちが今まで作り出した音楽に対しては、やっぱりファンのみんなは、その時間も含めて愛してくれてたりする。だからこそ、それを超えていく意識がなきゃいけないというか、自分たちがやってきたことをもっともっと輝かせるために、より今を素晴らしいものにしていかなきゃいけないと思うんですね。そのバランス感覚は、あまり頭で考えちゃうと不自然になっちゃうとも思うんだけど」

──今作はU2、ピーター・ガブリエル、ザ・ローリングストーンズなど名だたるアーティストを手掛けてきた、音楽プロデューサーのスティーヴ・リリーホワイト氏との共同プロデュースも話題ですね。

J「30年もやってると、だんだんメンバーの呼吸感が、会話をしなくても分かってくるんですよ。どんな球を投げてくるか、どんなフォームで投げてくるかも手に取るように分かるから、言葉は悪いけど、刺激を感じなくなることもあって。それが“円熟”の意味なら受け入れるべきだけど、まだまだ僕らは刺激を受けたい。だから今回、スティーヴ・リリーホワイトにプロデュースを頼んだんです。でも自分が音楽をやり始めるキッカケになったような音楽を作ってた人と一緒にアルバムを作れるのは、とんでもないことで。本当にいろんな刺激を受けたし、幸せでした。バンドを始めて30年経っても、これほどワクワクできる経験ができるんだと思いましたね。だからさっきも言った、自分の『挑む』って気持ちに間違いはなかったのかなって思えた」

真矢「スティーヴは音楽に携わることを、われわれよりずーっと長い期間やってきた人。でも今回、誰より一番スティーヴが、アルバムの共同作業をすることを楽しんでたと思う。誰でもさ、楽器と出合ったり、音楽やりてぇなと思った時ってめちゃくちゃ楽しいじゃない? で、そういうときめきをずっと保ちたいとは思うけど、慣れてくるとどうしても仕事チックになることはあって。でもスティーヴには、それが全然なかった。ほんと素晴らしい人だと思いましたね」

──バンド結成から30年経ち、お二人のプレー面ではどのような変化がありましたか。

真矢「意識は変わらないと思います。技術もね、あんまり追求したことないし。ただ僕がよく言うのは、30年でメンバー一人一人の“伸びしろ”は大きくなったんじゃないかなってこと。昔は伸びしろが小さいから寄り添わなきゃいけなかったけど、今は大きくなった分、個々が好きなことをやってもちゃんと合わせられるんですよ。だってLUNA SEAを結成してから、リズム隊としてJと2人で練習入ったのって、1回だけだよね?」

J「そうだね(笑)」

真矢「リズム隊ってよく夫婦とか言われるけど、それは技術的なものじゃなくて、言葉とか呼吸みたいな関係性だと思うんです。普通、呼吸の練習ってしないでしょ? だから2人でスタジオ入って、スーハーって呼吸の練習してるようなもんだったから、1回だけで『これ…意味ないよね』って(笑)。全員でやらなきゃ意味がない」

──ちょっと驚きました(笑)。あらためてメンバーについてもお聞きしたいのですが、結成時と現在で「変わったな」と思う人はいますか?

J「そう考えてみると、みんな、出会った時と変わんないんだよね。まあRYUICHIは、(初対面の時に人数分より少ないドーナツを持ってきたことにちなんで)もうちょっとドーナツを買えるくらいになったというか(笑)」

真矢「財力が変わってね(笑)」

J「むしろドーナツ屋さんをやれるくらいになってるかもしれないですけど…。まあそれは冗談として、みんな変わってないですね。うん」

──今さらな質問ですが、お二人の言葉でメンバーについて1人ずつ語っていただきたいのですが…。

J「一番嫌なタイプのインタビューだね、これ(笑)。でもいいよ、大丈夫。まずRYUICHIから言うと、ああ見えてすごくいろんなことを考えて、影でものすごい努力をしてる人。そしてそれを周囲に見せない人ですね。趣味でもなんでも、いろんなことやるんですよ。で、とんでもない域まで極めて、ふっとまた違うことに興味がいったり。なんなんでしょうね(笑)」

真矢「本当にいろんなことに興味あるよね。僕はゴルフが共通の趣味で彼と一緒にやってるんですけど、ゴルフって絶対に努力しなければうまくならないの。でもRYUICHIは、努力する姿を見せずにそつなくこなすから格好いいよね。あとはどの現場でも、『おはよう』の声が暗い時がない。そのあいさつで、バンドのムードをグッと上げてくれる存在ですね」

J「SUGIZOも同じ意味で努力の人かな。音楽に向けてもすごいひたむきに、その中で自分を見つける作業をずっとしてる人だと思う。リハーサルも彼が一番やりたがるしね。僕みたいに、やり過ぎちゃうとフレッシュでなくなるからイヤだってタイプもいるけど、SUGIZOはリハをやってやってやって、寸分の狂いもなくそれを表現したいんだってタイプで。何があろうがいつも誰よりも先に会場に入って、誰より数をこなしてて、すごいなと思います。でもこの間、真矢くんが名言を言ってて、『SUGIZOのそれはこだわりではない。勘違いするな、それはわがままだ』って(笑)」

真矢「いやぁ、彼はちまたで『わがままだ』とかいろんなこと言われてますけどね、確かにわがままです(笑)。でもね、LUNA SEAしかり、X JAPANしかり、手を抜くことが絶対ないの。ほかにも、例えば被災地への支援活動とか難民支援とかいろんなことやってるけど、それに対しても絶対全力。俺には絶対にできないことだと思って、ものすごい尊敬してます、やっぱり」

J「これじゃわがままにもなるのも仕方ないってね(笑)」

真矢「そうそうそう(笑)」

J「そしてINORANは、僕は付き合いが一番古いんですけど、すごいたくましくなってるなと思いますね。自分自身の音楽とかスタイルを今一生懸命見つけようとしてるのを感じるし、その中でさまざまなものにトライして、挑戦してる。それが彼のエネルギーになってると思うから、そういう意味でたくましくなったというか」

真矢「INORANは、営業ロックがゼロの人。私生活とステージでの姿とのギャップがあんまりない人だね。もちろんメンバー全員がそうだけど、彼は特にないなって思う。楽屋に入ってからもステージ感があるんだよ。だからある意味、器用ではないんじゃないかな。INORANの人生はずーっと音楽をしてるんだなって感じる人」

──面と向かっては恥ずかしいと思いますが(笑)、お互いについても聞かせてください。

J「恥ずかしいよね(笑)。あとで全部原稿チェックでバツつけたりして(笑)」

真矢「じゃあ俺からね(笑)。Jはね、Jにしかないものすごいオーラがある人。僕はいろんな人とセッションして、ものすごい大御所とも一緒にやらせてもらったんですけど、袖からステージに出ただけでぱっと華が咲く人だったんです。それがJも一緒。いつもライブでドラムソロを終えて、ベースソロを迎えるじゃない? その時、ガーンッて一発弾いて手を上げる、それだけでガッと光が差すというか、この腕一発ですげぇなっていつも感じますね」

J「ありがとう(笑)。真矢くんはね、すごく器が大きい。すごい冗談を言ったり、人を笑わせるイメージがあると思うけど、じつはメンバーの中で一番オーガニックというか、ナチュラルさを大事にする人です。だから、“間(ま)”の人なんだと思う。話す時も、物事を進める時も、自分がドラムに座る時もそう。全部を計算するように、彼自身はナチュラルに間を受け止めてるんだろうなって。やっぱ人生においても、そういう間をキャッチしながら進んでる人なんだろうなって思いますね」

──では最後に、テレビついても質問をさせてください。今まで出演した中で、一番印象深い番組は?

J「ある意味一番最初にLUNA SEAをピックアップしてくれたのが、『おはよう!ナイスデイ』なんですよ。東海林(のり子)さんの紹介で、あの時ライブハウスシーンで盛り上がってたバンドをピックアップしてくれて。初めてテレビというメディアのサポート力みたいなのを感じたし、放送後に吹いてくる風みたいなものを感じられた番組でしたね」

真矢「僕は今はテレビに出るたびにいじられ役なので(笑)、どの番組も印象深いんだけど…。でもテレビに出始めた頃は、僕は話してはいけないと思ってたの。LUNA SEAのイメージと違うからってずっと黙ってたんだけど、大竹まことさんに扉を開かれたんだよね。ああいう人って何か『こいつはしゃべらせると面白い』みたいなのを感じるんだよね。一番大きく反響あって、狙われたのはダウンタウンさんだったと思うけど、そういう経験があって、今こうなってます(笑)」

J「今はなかなか落ち着いてテレビを見る時間がないけど、朝方一人でコーヒーを飲みながら、ぼーっと明け方のニュース番組を観たりはしますね。あとはやっぱり俺が主題歌を担当した『仮面ライダーゼロワン』はチェックしますよ(笑)」

真矢「僕が時間があれば見るのは、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)かな。あとはやっぱお笑い番組が多い。さっきのJの話じゃないけど、お笑いの緊張と緩和というか、芸人さんたちの間を感じるのがすごく好きなんだと思います」

【プロフィール】


LUNA SEA
1989年、現メンバーで結成。92年アルバム「IMAGE」でメジューデビュー後、ミリオンセールスを連発するが、2000年に突然の“終幕”を発表。07年に一夜限りの復活公演を開催し、10年から本格的に活動を再開。19年12月18日に通算10枚目のオリジナルアルバム「CROSS」をリリース。20年3月から全国ホールツアーがスタートする。

【作品情報】


「CROSS」
初回限定盤A(CD+DVD) ¥4,000(税別)
初回限定盤B(2CD+DVD) ¥4,000(税別)
通常盤 ¥3,000(税別)

<スペシャルサイト>
https://sp.universal-music.co.jp/lunasea/cross/

取材・文/齋藤春子 撮影/尾崎篤志

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