イオン、2020年の「初売り」で“特に食品に力を入れる”ワケ

消費増税で個人消費が冷え込む中、イオンリテールは12月26日、イオンスタイル板橋で2020年の福袋・初売りの準備風景をメディア向けに公開しました。

「令和」最初の初売りとなる今回は、牛肉や刺し身などの食関連商品の取り扱いを、前年より強化しています。どのような商品が発売されるのか、クリスマスから正月に切り替わる売り場を取材しました。


家族向け「ごちそう」を強化

初売りの目玉の1つである、正月ならではの食メニュー「ごちそう福企画」。2020年は、取り扱う食品の種類を前年の2.5倍に増やしました。

しかも、それぞれの商品がボリュームたっぷり。マグロやハマチ、サーモンなどが入った「ご馳走お刺身盛合せ」(3,980円、税別、以下同)や「いくらが美味しい贅沢海鮮丼」(1,000円)といった海鮮のほか、「松坂牛かたロース・まえばらすき焼き用 1kg」(1万0,800円)などの和牛がラインナップされています。

普段からリピート率が高いという「ダシが決め手のフワトロたこ焼き」は、特別仕様の35個入りを1,000円で販売します。

食関連を強化した理由として、イオンリテール・イオンスタイル板橋SC課長 兼 店次長の鳥内保孝さんは、「最大9連休ということで、自宅や帰省先でゆっくりされるお客様が増えると予測しています。そのニーズに最大限応えるために、中食関連を強化しています」と説明します。

食品は持ち帰りの場合、8%の軽減税率が適用されます。松坂肉を1キロ単位で売るなど量を増やすのは、通常あまりやらない方法ですが、家族そろって食卓を囲む場面を想定し、このようなラインナップに仕上げたといいます。

202万円の「千両箱」の気になる中身

もう1つの目玉は「令和の大盤振舞い 202萬円千両箱」として販売する、バスルーム・洗面・トイレの「TOTO プレミアム3点セット」です。広報担当者によると、202万円で販売するこのセットは、同社で過去にない価格帯の初売り商品。通常購入する場合と比べて、価格は3分の2以下になるといいます。

「令和になって初めての正月なので、水回りをリフォームして気分を入れ替えてみては」と、前出の広報担当者は投入した狙いを明かします。

また、令和ならではの企画として実施する「日本酒47都道府県セット」(5万5,800円)は、各地の銘柄をバイヤーが厳選した商品。47都道府県の地酒を飲み比べすることができます。

福袋にも「コト消費」の波

さらに、福袋はアパレル品だけでなく、地域によって内容が異なる「体験型コト福袋」を用意します。

横浜市内の「イオン」「イオンスタイル」では、「イオンオリジナル 横浜DeNAベイスターズ福袋」(1万円、各店舗10個限定)を販売。オリジナルグッズと、ホーム開幕戦3連戦いずれか1試合の観戦チケット(1人分)引き換えハガキが付属します。

ほかにも、東北6県では「上村愛子さんと滑る親子スキー教室<ワールドカップ特別観戦付>」や、長野県限定の「松本山雅FCトークショー・サイン会&ペア観戦チケット」など、地域に密着した内容になっています。

増税後の悪い流れを断ち切れるか

消費税率が引き上げられた10月は、イオンの既存店の月次売上高が前年同月比7.7%減と落ち込みました。しかし、11月は同0.9%増と回復したといいます。

前出の鳥内さんは「増税後は消費が一時期落ち込みましたが、独自のポイント企画の実施や、ブラックフライデーが起爆剤となり、消費は間違いなく回復傾向にある」と語ります。

初売りで目標とする売り上げは前年同期比5%増。中食需要の取り込みと「令和の大盤振舞い」の大型企画商品で、新しい年のスタートを勢いよく切ることができるでしょうか。

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