種市&岩下ら若手成長! リーグVはエース石川がカギ? ロッテ19年投手陣

ロッテ・種市篤暉【写真:荒川祐史】

今季はリーグ4位のチーム防御率3.90、種市らの台頭が支えに

 今季のロッテは3位の楽天と2ゲーム差の4位に終わった。最終的には悔しい結果に終わったが、来季に向けて多くの収穫があった1年でもあった。今回は、特集動画「シーズンレビュー2019」で試合を振り返り、本記事では選手にフォーカス。今回は投手を中心に2019年を振り返る。

 2017年にリーグ最下位に沈んだチーム防御率は年々良化し、今季はリーグ4位の3.90で終えた。そんな成長過程のロッテ投手陣の象徴とも言える存在が種市篤暉投手だ。高卒3年目の今季は開幕1軍入り。中継ぎとして結果を残し、4月29日の楽天戦で今季初先発に抜擢されると、5回2失点の力投でプロ初勝利を挙げた。今季は通算26試合に登板し、チーム最多タイの8勝(2敗)を挙げ、防御率3.24を記録。強みは高い奪三振力で、116回2/3を投げ135奪三振をマーク。一方で与四球はリーグ5位(51四球)と制球力には欠ける面もみられた。

 また高卒5年目、23歳の岩下大輝投手も成長株。4月17日のソフトバンク戦では6回無失点の好投で今季初勝利を挙げ、7月までに5勝の活躍を見せた。しかし8月、守備の際に右足を痛めて戦線離脱。5勝3敗、防御率3.64でシーズンを終えた。強気の投球スタイルが魅力だが、96回1/3で49四球と、制球には課題も。さらなる成長を遂げ、来季こそ1年間ローテーションを守りたい。

 新戦力の台頭もあった。ドラフト3位ルーキー小島和哉投手と同ドラフト2位東妻勇輔投手だ。小島は開幕1軍入りしたが、4月4日の西武戦で2回8失点に崩れ登録抹消となった。夏場に1軍へ再昇格すると、8月14日の日本ハム戦で6回1失点と好投しプロ初勝利。8月の月間防御率は1.88、9月は3.00と結果を残し、3勝を挙げた。一方の東妻は7月に1軍初昇格を果たすと中継ぎとして好投を続け、8月にはセットアッパーに定着8月は12試合に登板し、自責点はわずか1とチームを救った。しかし9月は数字を悪化させ、シーズン防御率は4.71で終えた。10試合に登板した中村稔弥投手を含め、片鱗を見せた3人のルーキーが来季の起爆剤となれるか。

大車輪の活躍を見せた益田、東條らブルペン陣、16年ドラ1佐々木も1軍で活躍

 中継ぎ陣を引っ張ったのは、益田直也投手と東條大樹投手だ。抑えを務めた益田は60試合に登板し、防御率2.15、リーグ4位の27セーブを記録。特に7月以降は30試合に登板し自責点はわずか3と抜群の安定感を誇った。東條は今季は前年までを大きく上回る58試合に登板。対右打率は.228、得点圏被打率は.162とピンチにも強かった。9月に打ち込まれたことで防御率も3.78と成績は悪化。来季はリベンジを果たしたい。

 かつての守護神、西野勇士投手と2016年ドラフト1位右腕、佐々木千隼投手も1軍で活躍。西野は怪我に苦しみ、2017年はわずか5登板。昨季も14試合で防御率6.19と結果を残せていなかった。しかし今季は開幕1軍に名を連ね、5月9日西武戦で3年ぶりにセーブを記録。8月5日の楽天戦では先発として674日ぶりの勝利を収め、シーズン終盤には完封勝利も挙げた。来季のフル回転にも期待せずにはいられない。

 佐々木も昨季は怪我に苦しみ1軍登板なしに終わったが、今季は7月9日日本ハム戦で初登板を果たすと、7回1失点で2年ぶりの白星を掴んだ。その後も先発として登板を続け、7試合で2勝1敗、防御率2.53と結果を残した。

 一方で波に乗り切れなかった選手も。二木康太投手は2016年に7勝を挙げ、ブレイクが期待されていたものの、2桁勝利には毎年届かず、今季も7勝10敗、防御率も4.41と支配力に欠けた。Aクラス入りをかけて臨んだ西武との今季最終戦では2回を持たず5失点KOと悔しさを残した。その他にも、石川歩投手、ボルシンガー投手らが先発の柱として期待されるも、ローテーションを守れず。ボルシンガーは昨季13勝2敗から今季4勝6敗へと大きく成績を下げた。

 若手投手が台頭する一方、長年チームを支えてきた選手たちが力を発揮できなかった今季。上り調子のフレッシュな面々に中堅、ベテランの本来の力が加われば、さらなる飛躍が見込めるだろう。井口資仁監督も来季で勝負の3年目。ポテンシャル豊かなロッテが、真価を問われる1年を迎えることになる。(「パ・リーグ インサイト」望月優樹)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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