韓国人客激減を受け、対馬への誘客「多角化を」 対馬観光のあり方検討会が市長に提言

比田勝市長に「対馬観光再生ビジョン提言書」を手渡した対馬観光のあり方検討会の菊森座長(左)=対馬市役所

 日韓関係悪化に伴い、今夏から長崎県対馬市を訪れる韓国人観光客が激減していることを受けて同市が設置した「対馬観光のあり方検討会」(座長=菊森淳文・ながさき地域政策研究所理事長)が24日、誘客先の多角化を目指すことなどを柱とする提言書を比田勝尚喜市長に提出した。
 同市によると、対馬を昨年訪れた観光客数は、観光目的かどうかがおおむね推計できる国際海上航路と国内空路で計約44万5千人。韓国人が92%(約41万人)を占める一方、日本人は7%(約3万3千人)、韓国以外の国籍の外国人は0.6%(約3千人)にとどまっている。
 検討会は有識者や島内の観光事業関係者ら15人で構成し、対馬の観光戦略について10月から5回にわたって議論してきた。
 提言書では、日本人客の割合を40%以上にすると中長期の目標を掲げ、大都市圏での認知度向上などを求めている。団体客が多かった韓国人客については「個人旅行へのシフトに対応し、顧客層を(客単価の要素で)向上させる戦略の構築が必要」と指摘。その他の外国人客に対しては、福岡空港を経由してアジア諸国から入国してくる観光客を呼び込む方策の検討などを提案している。
 菊森座長は「(韓国との)経済や外交の変動に耐えうる島に転換することが、対馬観光にとって得策との意見が多く出された」と説明。比田勝市長は「韓国人激減のピンチをチャンスに変えるべく、国内外の観光客をおもてなしできる態勢づくりを進めたい」と話した。

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