社説(12/27):三陸ジオパーク/意義確かめ地域財を次代へ

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 貴重な地形や地質を有する自然公園「三陸ジオパーク」の認定継続が決まった。運営体制の脆弱(ぜいじゃく)さが指摘され、2017年に2年間の条件付き認定となっていた案件だ。

 13年の初認定からわずか4年で取り消しの瀬戸際に立たされたのは残念だったが、日本ジオパーク委員会の厳しい判断は、地域の財産について深く思いを巡らせる契機になったのではないか。

 八戸市から気仙沼市まで青森、岩手、宮城3県の沿岸16市町村をエリアとする三陸ジオパークは、総延長約300キロの海岸線に130カ所の見学ポイントが並ぶ。

 5億年に及ぶ地球史を総覧できる地質と併せ、東日本大震災の津波遺構を見学ポイントに組み入れたところに大きな特徴がある。

 環境保護に重きを置く従来の自然公園と一線を画し、ジオパークには地域資源を教育や観光に生かす活動が求められる。訪問者に学びの空間を提供することが認定継続の必須条件だった。

 地元の推進協議会はこの2年間、現地ガイドの技能講習強化、地域行事をジオパークと関連付けるなど地道な努力を続けてきた。「復興の起爆剤に」と認定を急いだ6年前に比べ、地域住民の参加意識は格段に高まった。

 認定継続となった今後の三陸ジオパークは、陸前高田市にある岩手県震災津波伝承館との連携に心を配りたい。

 伝承館の来館者は9月の開館から3カ月で既に9万人に達した。9年近い歳月を経てなお、東北に大きな傷跡を残した巨大災害に人々の関心が薄れていない証拠だろう。

 ただ、限られた展示スペースで震災の全てを説明し尽くすのは難しい。それ故、伝承館には三陸沿岸の震災被災地へと人々をいざなう玄関口としての役割が期待される。

 館内でひときわ目を引く大破した消防車両の実物展示は、そうした仕掛けの一例だろう。津波の脅威を物語る消防車両を提供した岩手県田野畑村は、何らかの形で公開される日を待って長年、倉庫で保管してきた。

 その田野畑村では、三陸ジオパーク構成要素の一つで、小型漁船で海からリアス海岸を望むサッパ船ツアーが好評だ。三陸海岸の雄大な景観と津波の威力を物語る壊れた防潮堤などを地元漁民の案内で巡る。

 一方、三陸と同様に条件付き認定とされた熊本県天草市など2市1町で構成する「天草ジオパーク」は先日、認定返上を決めた。

 「費用負担の割に交流人口が増えない」と不満を口にする地元に日本委員会は「認定を受けただけで人が集まるわけではない」と反論。埋め難い溝があらわになった。

 いま一度、ジオパークの意義を確かめよう。地域財を次代に引き継ごうという住民意志が試されている。そう肝に銘じたい。