千葉移転後最多132本塁打! 鈴木退団も安田、平沢らに期待…ロッテ19年打者陣

ロッテ・荻野貴司【写真:荒川祐史】

今季からホームランラグーンを設置、チーム132本塁打を記録

 今季の4位に終わったロッテだが、振り返れば多くの収穫があった1年でもあった。今回は特集動画「シーズンレビュー2019」で試合を振り返り、本記事では選手にフォーカス。今回は打者を中心に2019年を振り返る。今季チーム打率は.249でリーグ5位に終わった一方、チーム本塁打数は昨季の78本から132本に大幅増。チーム本塁打が100本を超えるのは、日本一に輝いた2010年以来9年ぶり、千葉移転後最多本塁打。さらにチーム打点は613と、リーグ制覇の西武打線に次ぐリーグ2位をマークした。

 そんな攻撃力を増した打線で存在感を放ったのが荻野貴司外野手だ。怪我に泣くことが多かったが、今季は4月に月間打率.355の好成績をマークしてレギュラーを奪取、自身初の規定打席に到達した。自己最多の125試合に出場して最終成績は打率.315、10本塁打の好成績でベストナインにも輝くなど、1番打者として申し分のない結果を残した。またリーグ4位の28盗塁。守備でも自身初のゴールデングラブ賞も受賞した“伸び盛り”のベテランに、来季も注目だ。

 荻野と上位打線を形成したのが、鈴木大地内野手だ。開幕スタメンこそ逃したが、持ち前のユーティリティを生かして出場機会を増やし、打席で結果を残し続けた。特に交流戦では打率.368、6本塁打、17打点と荻野に並んで全体2位タイの爆発。打率.288、15本塁打、68打点とキャリアハイの成績を残したチームリーダーだが、来季からライバルとなることが決まった。

 また2019年のロッテ打線を語る上で外せないのが、ブランドン・レアード内野手、レオネス・マーティン外野手の助っ人コンビ。レアードは今季加入し、32本塁打、89打点と活躍。しかし夏場は調子が急降下し、打率.248にとどまった。マーティンは苦しい夏場にチームへ合流し、来日2試合目となる7月27日の楽天戦で早くも本塁打を放つなど長打を量産。52試合で14本のアーチを描いた。また強肩っぷりも魅力で、右翼から放たれる矢のような送球は、守備でお金が取れる数少ない選手の証。これからもお立ち台でたくさんの「頑張りマーティン」が見られることを期待したい。

課題を残した選手も…

 大きく課題を残した選手もいる。中村奨吾内野手は昨季打率.284、8本塁打、39盗塁、ゴールデングラブ賞も受賞した。しかし今季は故障の影響もあり打率が悪化。打率.232は規定到達者の中ではリーグワーストで、盗塁も12盗塁と大きく減らした。一方で本塁打数は17本と倍増している。藤岡裕大内野手も開幕から調子が上がらず、5月には右ももの肉離れで2軍落ち。しかし再昇格後の9月には月間打率.353と結果を残し、来季に期待を持たせた。また昨季まで正捕手の田村龍弘捕手も、今季は柿沼友哉捕手の台頭や故障による離脱で出場機会が減少。試合の終盤には細川亨捕手がマスクを被ることもあり、来季は正捕手として返り咲きたいところだ。

 鈴木の退団が決まり、最も期待されているのは三塁手、安田尚憲選手の1軍定着だろう。2年目の今季は2軍で経験を積み、19本塁打、82打点はイースタン・リーグ2冠。守備や打撃の確実性など課題は多いが、来季に期待がかかる。同じく期待されるのが、平沢大河内野手。昨季112試合に出場して今季のブレイクが期待されたが、今季は打率.198、1本塁打と結果を残せなかった。多くはない守備機会で5失策と遊撃手としても安定感を見せられず、攻守にわたって不発。今秋のドラフトでは同学年、同ポジションの福田光輝内野手がドラフト5位で指名されるなど競争は激化しており、2020年は平沢にとって正念場となるだろう。

 これまで振り返ってきたように、円熟期を迎えた主力と期待の若手が混在しているロッテ野手陣。新たに設置されたホームランラグーンの影響もあってか打撃成績は良化。今季24本塁打の井上晴哉内野手など既存の選手らの奮起と、期待の若手がマッチすれば、破壊力はさらに増すだろう。(「パ・リーグ インサイト」望月優樹)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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