政治とカネの問題、また

 平成から令和へ移ろうとしていた4月頃は「平成はどんな時代だったか」と、振り返ることが多かった。小紙を含むメディアはさまざまに30年を顧みたが、政治や政界について言えば「政治とカネの問題」は、その時代を語るのに欠かせない▲平成に入ったちょうどその頃、贈収賄が発覚した「リクルート事件」に政界は揺れていた。その後、政治改革が叫ばれて、政治とカネの問題にけりをつけようとしたが、その二つは今なお、密着の度が過ぎる場合があるらしい▲9月以来、閣僚2人が政治とカネを巡る疑惑で辞任したりと政治への「がっかり」は絶えないが、この汚職事件は衝撃を伴う。衆院議員の秋元司容疑者が収賄容疑で逮捕された▲日本でのカジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業に参入を狙った中国企業の側から、現金300万円を受け取ったとされる。内閣府の副大臣だった時にIRを担当していた▲袖の下を握らせた側と握った側と、度の過ぎた密着があったとすれば、広げる波紋は大きい。カジノに賛否ある中で、推し進める政権への風当たりは強まり、本県への誘致の動きに水を差すとみる向きもある▲平成に続き、令和の初めの年もまた、贈収賄事件に揺れる。時代を超えた「政治とカネ」との密着には、時代を超えて目を光らせるしかない。(徹)

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