真珠湾で原爆展検討 長崎、広島両市 被爆75年に合わせ来夏

 長崎、広島両市は来年の被爆75年に合わせ、太平洋戦争開戦の地である米ハワイの真珠湾で、来年夏に原爆展を開催する方向で検討していることが26日までに分かった。場所は、戦艦ミズーリ記念館などが候補地に挙がっている。
 両市は1995年度以降、核保有国の米国やロシアをはじめ19カ国51都市で、被爆の実相を伝える海外原爆展を開いてきた。真珠湾での開催が実現すれば初めてとなる。
 候補地の戦艦ミズーリは日本が降伏文書に調印した場所で、現在は真珠湾に係留中。記念館として利用されている。
 海外原爆展では95年、米スミソニアン博物館での開催が米退役軍人らの反発で中止になったこともある。真珠湾は旧日本軍が奇襲を仕掛けた「因縁の地」でもあり、両市は慎重に調整を進めているという。
 長崎市の田上富久市長は26日の定例会見で「原爆投下と真珠湾攻撃は対比して言及されることが多い。原爆を知り、関心を持ってもらえる機会になる。実現すれば大きな意味がある」と述べた。
 このほか両市は、夏の東京五輪・パラリンピックに合わせて首都圏で原爆展を開く方針。各国の選手やスタッフを両市に招き、被爆者の講話や原爆資料館見学などを通じて核兵器廃絶を考えてもらうことも検討している。

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