ガーデニング・家庭菜園市場に関する調査を実施(2019年)

2019年度のガーデニング・家庭菜園市場規模は前年度比101.3%の2,304億円の見込~若年層の需要拡大に向け、SNSの活用・滞在型売場などの取組みを推進~

©矢野経済研究所

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)では、国内におけるガーデニング・家庭菜園市場を調査し、市場規模、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。

1.市場概況

2018年度のガーデニング・家庭菜園の市場規模(生産者・メーカー出荷金額ベース)は、前年度比101.6%の2,275億円であった。2019年度は、前年度比101.3%の2,304億円と微増推移を見込む。
ガーデニング・家庭菜園市場では、一時期の盛り上がりも沈静化し、市場が成熟期を迎えている。従来はシニア層が主力顧客となり市場を支えてきたが、近年、高齢化の進展とともに、主力顧客層が減少傾向にあるなか、今後の成長のためには新規顧客層の開拓が喫緊の課題となっている。
こうしたなか、苗の生産者・メーカー、資材メーカーや小売店等では、新規顧客獲得のため、若年層の需要拡大に向け、SNSを利用した情報発信や、カフェの併設や子ども連れを想定した遊具などを備えた滞在型の売場作りなど、様々な取組みを活発化させている。

ガーデニング・家庭菜園の市場規模推移

2.注目トピック~生産緑地維持対策の推進により、市民農園拡大の可能性も

家庭菜園においては、農林水産省と国土交通省が中心となり、2022年に期間満了を迎える都市部の農地「生産緑地」を維持するための対策に取組んでいる。
現在の生産緑地は、1992年に都市部に農地を残す目的で導入された。地主には30年にわたる税優遇を認める代わりに、営農を義務付ける。国土交通省によると、全国には約1万3,000ヘクタールあり、そのうち、東京都が約1/4にあたる約3,200ヘクタールを占めている。

生産緑地は、前述の税優遇措置が期間満了を迎える2022年以降に宅地転用が加速することが懸念されたが、平成30年度税制改正では、営農をしない場合も、都市農地を貸し農園として利用した場合の相続税の猶予が可能となった。また、2018年9月施行の「都市農地貸借法(正式名称:都市農地の貸借の円滑化に関する法律)」により、生産緑地の貸借における要件が緩和された。市民農園開設者が農地所有者から、直接、都市農地を借りて市民農園を開設できる措置が新設され、都市農地の有効利用がしやすくなった。
硬直的であった都市部の農地(生産緑地)の貸借要件の緩和で、企業やNPOが借りやすくするなどの仕組みづくりが進んでいることから、今後は都市部での市民農園が拡大する可能性があるものと考える。

3.将来展望

ガーデニング・家庭菜園を嗜好する顧客層は今後も一定程度存在するものと考えるが、新規顧客の開拓は課題であり、各社ともに、植物に触れる機会を創出するような商品の拡充を図っている。
苗の生産者・メーカーでは、収穫のしやすさを有する野菜・果樹苗や、手入れが楽で育てやすい花卉類、高栄養などの機能性を特色とした野菜苗、寒冷期でも生育する秋冬向け苗などの商品化が行われている。また、資材メーカーでは、屋内用植物(インテリアグリーン)や、キッチン菜園(ハーブや大葉など食材としても利用でき、台所で栽培可能な商品)、プランター菜園など、屋内園芸を入り口とした新規顧客の獲得への取組みが展開されている。
今後はこうしたことがプラス要因となることから、市場は堅調に推移し、2024年度のガーデニング・家庭菜園の市場規模(生産者・メーカー出荷金額ベース)は2,422億円(2018年度比106.5%)を予測する。