「井山一強時代」に陰り、仲邑が最年少プロに 囲碁界この1年

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公式戦初勝利を挙げ、感想戦で笑顔を見せる仲邑菫

 今年の囲碁界は、小学4年生(当時)の仲邑菫(なかむらすみれ)が「史上最年少でプロ棋士の初段に」とのニュースで幕を開け、「菫ちゃん」フィーバーに沸いた。タイトル戦線は、井山裕太が三冠に後退する一方、芝野虎丸が名人、王座を奪って二冠になるなど、長く続く「井山一強時代」に陰りが見え始めた。さらに上野愛咲美(あさみ)の一般棋戦準優勝をはじめ女性棋士の活躍も目立った。(金井恒幸) □特別推薦棋士

 「中学生のうちにタイトルを取りたい」。仲邑は4月、10歳0カ月でプロ入りし、藤沢里菜の11歳6カ月の記録を9年ぶりに更新。国際棋戦で活躍できるプロ棋士養成のため、日本棋院が新設した「英才特別採用推薦棋士」に選ばれた。

 対局には囲碁関係の取材には珍しいほど大勢の報道陣が殺到し、新聞やテレビ番組に何度も取り上げられた。日本中から注目され、将棋に比べて露出の少ない囲碁界の救世主的な存在となった。

 デビュー戦は黒星だったが、7月の10歳4カ月での公式戦初勝利によって最年少記録を塗り替えた。8月には、女流棋聖戦で最年少での本戦出場を決めた。11月には本年度にプロ入りした中で公式戦10勝一番乗りを果たしたほか、男性棋士に7連勝するなど、将来への期待は高まるばかりだ。 □頭角現す

 全七冠から昨年8、11月に碁聖、名人を失った井山。今年に入っても苦闘が続き、4月に村川大介(西宮市)に敗れて十段を失い、11月には王座防衛にも失敗した。守り抜いた棋聖、天元はいずれも最終局までもつれる大接戦で、本因坊戦も第1、2局の連敗スタートと苦戦し、昨年春ごろまでの圧倒的な強さが見られなくなった。

 4月には碁聖戦本戦準決勝で負け、2015年の本因坊戦以来続いてきた、七大タイトル戦の挑戦手合連続出場が、最多の29期でストップした。

 現在の囲碁界は研究に人工知能(AI)を活用し、若手棋士の成長が目覚ましい。そんな中でめきめきと頭角を現したのが、芝野。10月に名人を最年少19歳11カ月で手に入れた。井山の20歳4カ月を10年ぶりに抜き、プロ入りから5年1カ月の七大タイトル獲得は最速だった。11月には井山から王座も奪い、二冠となった。 □女性初の快挙

 女流タイトルを現在二分する上野と藤沢の活躍が目立った。

 上野の竜星戦準優勝が光る。9月の決勝で惜しくも一力遼に屈したが、全棋士に参加資格がある棋戦では女性初の快挙。これまで七大タイトル戦や竜星戦など計10棋戦で、女性棋士の最高はベスト8だった。

 藤沢は1月、天元戦で女性棋士として初めて七大タイトル戦の本戦勝利。過去出場した藤沢を含めた10人は勝ち星をあげられなかった。敗れたが、女性棋士初の名人リーグ入りを懸けて最終予選決勝で戦った。