命の瞬間を切り取る ~写真で振り返る2019年~

紛争や自然災害、貧困、感染症……。困難の中で命の危機にさらされる人びとへ、2019年も国境なき医師団(MSF)は医療援助を届けてきた。そして、数々の写真とともに、人びとの証言を社会に伝えてきた。世界中で撮影された写真を通して、2019年を振り返る。 

新しい命の誕生

© Severine Sajous/MSF

© Severine Sajous/MSF

レバノン・ベイルート市の大学病院内のMSF産院で生まれたばかりのアラーちゃんは体重3000グラム、身長51センチ。助産師のジョジアンヌと看護師のナガムによる分娩介助を受け、母子ともに健康だ。

© MSF/Hannah Wallace Bowman

© MSF/Hannah Wallace Bowman

生後6カ月の女の子。この2日前、母親と兄とともに木造船で地中海を渡ろうとしているところを救い出された。ありあわせのもので作ったベビーベッドで眠っている。2019年9月、地中海でMSFが運航している救助船「オーシャン・バイキング」号にて。

子どもたちが生きる世界

© Al Hareth Al Maqaleh/MSF

© Al Hareth Al Maqaleh/MSF

小さな弟を抱く少女がたたずんでいるのは、イエメン北部の町アブスの避難民キャンプ。紛争のために自宅を追われ、今はここが住む場所となっている。

© Mohammad Ghannam/MSF

© Mohammad Ghannam/MSF

サイクロン「イダイ」の被災後に食料の備蓄が先細り、食べ物を得ようと釣りをする子どもたち。しかし、この水辺はコレラ菌に汚染されている。モザンビーク、ニャマタンダ地区にて。

心に負った傷

© Emilienne Malfatto

© Emilienne Malfatto

 イラクのヤジディ教徒の男性(24歳)。心の健康を損なっている。2014年8月に過激派組織がイラク北西部に住む少数派・ヤジディ教徒を襲撃。今も彼らは深い悲しみの中を生きている。

© Juan Carlos Tomasi

© Juan Carlos Tomasi

アナさんはメキシコ国内でも特に暴力の深刻な州の1つであるゲレロ出身。武装勢力間の抗争で地元の村が荒廃したいきさつを語る際も、素顔をさらそうとはしなかった。

動き続けるMSF

© Igor Barbero/MSF

© Igor Barbero/MSF

南スーダン北東部の移動診療先で子どもの診察をする、MSF医療チームリーダーのベンジャミン・コリンズ。子どもを抱えた多くの親が集まってくる。

© Jacob Burns/MSF

© Jacob Burns/MSF

負傷した脚の切開をどう始めるか検討するMSFの外科医たち。患者のユスリさんは2018年7月のガザにおける抗議活動の際にイスラエル軍に銃撃され、骨移植が必要になった。2019年1月、パレスチナ、アル・アウダ病院にて。

© Juan Haro

© Juan Haro

木陰に設けた予防接種会場ではしかワクチンを投与するMSFチーム。2019年4月、チャド、アム・ティマン地区ミナ村にて。

希望を生み出す

Ⓒ Isabel Corthier/MSF

Ⓒ Isabel Corthier/MSF

「ついに退院したよ!」HIVの治療のために入院し、MSFのケアを受けていたマラウイのオースティンさん。友達が集まって退院を喜んだ。

2020年もMSFは、医療援助を必要とする人びとのもとへかけつけ、未来へ希望をつなげる手助けを続けていく。

© 特定非営利活動法人国境なき医師団日本