佐世保市消防局は27日、市東消防署の50代男性の救急救命士が、心肺停止の70代男性を病院に搬送中、医師から心拍の回復を促すアドレナリンを投与するよう指示されていたにもかかわらず、失念して処置をしなかった、と明らかにした。男性はその後、死亡した。死亡との因果関係について検証する。
市消防局によると、24日午前9時10分、男性の家族から「食事中に意識を失った」と119番通報があった。消防局は救急隊を出動。ドクターヘリの出動も要請した。
救急隊は18分に到着。男性は心肺停止で、先に到着していたかかりつけ医が心臓マッサージなどをしていた。救急隊は自動体外式除細動器(AED)を使った救命処置をしながら31分にドクターヘリとの合流場所に出発。40分にフライトドクターと接触した。
フライトドクターは救急車内でアドレナリンを3~4分間隔で4回投与。しかし回復せず、救急車で嬉野医療センター(佐賀県嬉野市)に搬送することになった。
フライトドクターは救急救命士に対し、搬送中にも4分間隔でアドレナリンを投与するよう指示。しかし、医療センターに到着するまでの14分間投与しなかった。
医療センターの指摘で発覚。救急救命士は当初、「指示を受けたかどうかの記憶がない」と話していたが、その後の調査で指示を忘れていたことが明らかになった。
市消防局は26日、遺族に対し救命処置にミスがあったことを報告し、謝罪した。遺族は「死亡との因果関係の結果で、対応は変わってくる。1日、2日でも持ちこたえてくれたら、きちんとお別れを言えたのに」と悔しさと無念の表情だったという。
27日に市役所で開いた記者会見で西﨑正明局長は「市民の生命を預かり、守る立場にある消防局として、このような事態を招いたことを深くおわび申し上げる」と陳謝。「再発防止策を徹底して検討する」と述べた。
救急救命士 アドレナリン投与忘れ 男性死亡、検証へ
- Published
- 2019/12/28 00:06 (JST)
- Updated
- 2019/12/28 16:33 (JST)
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