家事がラクになる間取りに新潮流、「ネオ家事ラク」リフォームのコツとは?

今までの家事ラクリフォームでは、「対面式のアイランドキッチン」「雑多さが出ない隠せる収納」「水回りは1ヵ所に固める」が定説でした。しかし、時代の流れや働き方・ライフスタイルの変化によって、その時々でベストのリフォームは変わってきます。

新しくて面白い住宅のトレンドがリフォームにもどんどん取り入れられており、私はそれを「ネオ家事ラク」リフォームと呼んでいます。最新のリフォームトレンドとはどんなものなのか、その一例をご紹介します。


4人に1人が「家事のしやすさ」を最重視

300万円以上のリフォームを実施した844人を対象にしたリクルート住まいカンパニー「2016年リフォーム実施者調査」によると、「リフォームにおける重視項目」の1位は「家事がしやすいこと」でした。その比率は23.6%。実に約4人に1人が「家事のしやすさ」を重視していることがわかりました。

背景には、共働き世帯の増加があると考えられます。実際、ワーキングマザーに家事の悩みについて聞くと、「収納が狭い」「掃除・洗濯・食器洗いに時間がかかる」などの声が多く上がります。

これまでは、家族の様子が見えて手伝ってもらいやすいアイランドキッチンが好まれたり、パントリーなど大型の扉付き収納でモノを隠し、キッチンで料理しながら洗濯・風呂掃除などができる家事動線が便利という考え方が主流でありました。

しかし最近はこれが進化を遂げており、たとえば、対面式ではなく「スライド式キッチン&ダイニング」、隠す収納だけではなく「使う側からは見える収納」、洗濯なら洗濯に特化した「家事ごとの動線を最適化」というキーワードに変わってきています。

進化を遂げた「ネオ家事ラク」リフォームとは?

「対面式」から「スライド式」に変わったキッチン&ダイニングは、キッチンとダイニングを横に並べ、動線を最短化して、今までアイランドを回り込んでいた時間を短縮。料理を作ったらサッと横のテーブルに出せ、横に2~3歩の距離でスムーズに配膳・片づけができる配置のプランが人気です。

「収納」も隠すだけではなく、リビング側からは隠しながらも、使う側からは見える収納にして、見映えと作業効率のバランスをとる事例が増えています。

たとえば、人から見えるキッチン上のラックや背面の棚板上には厳選した食器や雑貨を置き、一方のコンロ下は重たいホーロー鍋を両手で取り出しやすいよう、扉は設けずオープンな棚にして作業しやすくする。このように「見せる」「見せない」をしっかり計算し、配置する、などが挙げられます。

水回りについては、キッチン・風呂・洗濯機を近くに配置するにとどまらず、今は家事ごとの効率化がより細分化して考えられています。洗濯でいうと、「洗濯機で洗って、干して、取り込んで、畳んで、仕舞うまで」を最短の距離・時間で終わらせられる工夫がされています。

家族円満な水回り動線のコツ

たとえば、陽の入る家事室やクローゼットをつくって、洗濯機で洗ったものをハンガーにつるして干し、乾いたらそのまま収納用パイプに移動。「畳む」から解放されるプランなども出てきています。

洗う、干す、しまうがコンパクトな動線で完結する室内干しスペース(設計・施工:LOHAS studio)

また、洗濯物を平日はベランダには干さず、浴室乾燥機で乾かすという声も、共働きのパパ・ママからよく聞きます。

下の事例の場合、風呂に入っている間に洗濯機を回して、出たら風呂の中に洗濯物を干し、朝に取り込むというスタイルのため、洗濯機を浴室の隣りに置き、動線を最短にしています。さらに、その隣りにタンスを置き、このスペースで畳んでしまう工程が完結。家族の個別の収納に仕舞いに行くという作業から解放される、画期的なプランです。

浴室乾燥機で干して、畳んで仕舞うのは隣の脱衣所のタンスへ(設計・施工:東京ガスリモデリング)

このように、リフォームのプランは「家事ごとの、仕掛かりから完了までの流れを踏まえ、最適化する」までに進化してきているのです。

自分や家族のライフスタイルによってカスタマイズできるのが、リフォームの醍醐味。普段の生活で不便だと感じることや家事の悩み・効率化などをしっかりリフォーム会社に伝え、リフォーム会社の提案力をどんどん引き出してください。さらに新しくて面白い間取りが生まれ、リフォームの可能性は広がり続けます。

© 株式会社マネーフォワード