故渡辺千恵子さん描く合唱組曲 「平和の旅へ」米で披露

ニューヨークでの上演について語る佐藤団長(右)。後方は渡辺千恵子さんの写真=長崎市役所

 長崎で被爆して下半身不随となり、車いすから核兵器廃絶を訴えた渡辺千恵子さん(1993年に64歳で死去)の半生を描いた合唱組曲「平和の旅へ」が来年4月下旬、核拡散防止条約(NPT)再検討会議が開かれる米ニューヨークの国連本部などで演奏される。米国での上演は初めて。
 長崎市民などでつくる「平和の旅へ」合唱団の佐藤由美子団長(68)や、作詞・作曲した園田鉄美さん(67)らが27日、同市役所で田上富久市長に報告後、記者会見した。佐藤団長は「核保有国の米国で歌う意義は大きい。世界の代表者たちに被爆の実相を伝えるいい機会になる」と語った。
 曲は、歌と語りで構成し上演時間約30分。85年初演で、修学旅行生向けや集会で約260回演奏された。
 2017年にノーベル平和賞を受賞した非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)関係者の協力を得て、米国上演が決まった。合唱団の約40人が、NPT再検討会議初日の4月27日に国連本部ロビーで演奏。翌28日はニューヨークのラガーディア芸術高校で披露し、17年のノーベル平和賞授賞式で被爆者として初めて演説した広島出身でカナダ在住のサーロー節子さんも聴く予定という。

© 株式会社長崎新聞社