長野市の津野地区。堤防決壊の爪あとが残る中、一軒の理美容店が、28日に営業を再開させます。
ヘアー ワカ・若月敦さん:
「年内に間に合わせてくれてありがたいなと」
避難生活を終え、店はようやく次の一歩を踏み出しました。
若月さんの店舗兼住宅は、1メートル70センチほど浸水し、ほとんどの設備が使えなくなりました。祖父の代から65年、地域に愛された店。若月さんは早くから営業再開を考えていました。
ヘアー ワカ・若月敦さん:
「水の力は怖いなと。1日でも早くこの地区の床屋として美容室として再開してみなさんに元気になってもらえれば」
避難生活が続く中、若月さん一家は、避難所で営業を始めます。母と妻の3人、仮設テントでの臨時営業です。
ヘアー ワカ・若月敦さん:
「長沼の地域に育ててもらっていて我々も被災しましたけど何かできないかと。お客さんもさっぱりしてくれれば」
利用客:
「みんなにこんなに助けてもらうなんてね。やっと笑いがでるようで涙が」
「水害でやられちゃって、落ち込んじゃってさ...。喜んで来た、髪の毛を切ってもらえればすかっとする。最高じゃないですか」
母・千恵子さん:
「お待ちどうさまでした。頑張りましょう!」
その後、避難所が統合され1ヵ月続いた避難所での営業を終えました。
ヘアー ワカ・若月敦さん:
「こんなにくるとは、元気を与えてもらったし、与えられた」
その後、年内の営業再開を目指し移り住んだアパートから店に通って準備を進めてきた若月さん。イスは知り合いから譲り受けるなどして、なんとか再開のめどをつけました。
ヘアー ワカ・若月敦さん:
「よかった、本当にありがたい」
隣にある自宅の工事はほとんど進んでいない状態で周辺の住民も多くがまだ戻っていません。それでも、若月さんはいち早く営業することにこだわってきました。
ヘアー ワカ・若月敦さん:
「ここで育って恩返しをしないと、まだ人がいない、少しでも憩いの場になれば」
営業は28日の午前9時から。2ヵ月半ぶりに散髪のハサミの音が店に響きます。