新証言が続々と 日本テレビは本当に大丈夫か 人の善意を悪用した『24時間テレビ』の罪が明らかに|久田将義

チャリティー番組での「フェイク」

「津波で亡くなった人を弔うだって……? いいや、そんなんじゃないね。確か、新しいコムローイ製品のプロモーションか何かでたくさんの人がここへ集められたんだよ!」

「だから、あのイベントは一人100バーツくれるって言うから、みんな集まったんだよ!」

次々と衝撃証言が出てきました。大丈夫ですか。日本テレビさん。

2011年に放送された『24時間テレビ』。2011年と言えば、東日本大震災で日本全体が消沈していた時期です。その夏、タイのある町では「日本の為に祈ろう」という事でコムローイ(灯籠を上空に飛ばす儀式)を8000個飛ばすという盛大なセレモニーが行われました。

感動的なストーリーです。ただしこの話が本当ならば、です。

本サイトはタイの当該町に直行。冒頭の証言はタイの村人のたちの証言です。どうした事でしょう。全く『24時間テレビ』の内容と違うではありませんか。そのタイの人の善意で成立した感動のシーンがゼロから作ったヤラセだとしたら大変罪深い事です。

日本テレビは『イッテQ』でありもしない奇祭をでっち上げた事を暴露されたばかりです。が、この件は「バラエティだから」といった主旨でBPOでは言ってみれば「見逃して」くれたような結論に至りました。

が、今回は人の善意で成り立っているはずのチャリティ番組、日本テレビの看板あり良心的番組の『24時間テレビ』です。

過去のフェィク・捏造報道はどのうよな結末に到ったか

ヤラセというものに、我々は寛大になってきていると思われます。バラエティに目が慣れたという理由もあります。視聴者の目が肥えてきたとも言えます。「面白ければいい」。確かにそれも言えます。いちいち目くじらを立てるのも大人げない。そういう雰囲気が世間を覆っているのも分かります。

しかし、それでも見過ごせない「ヤラセ」があるのです。それは人の善意を逆手に取ったもの。弱者をバカにしたもの。

そしてドキュメントに見せかけた「フェイク」です。

以前、こんな事があり世間から糾弾されました。

・1989年4月20日の朝日新聞夕刊が沖縄県西表島のサンゴに落書きがされていた事を報道。しかし、それはカメラマンが自らサンゴに傷をつけた自作自演行為でした。

・考古学において「神の手」と言われた「発掘の名人」F氏がいました。彼の手で次々と貴重な石器が発見されていきました。しかしF氏が、前日に石器を埋めていた事を2000年11月5日の毎日新聞において、写真でハッキリと報道されてしまいました。

これらは正に分かりやすいフェィクニュースと言えるでしょう。フェィクであり、捏造、虚報でした。フェィク・捏造と、「事実を間違って報道すること」とは違います。意図的に0の事を10として発表する事を意味します。間違いは誰にでもありますが、捏造・虚報は意図的なものです。それだけにタチが悪いと言えます。

さて結果、朝日新聞の当該カメラマンは懲戒解雇。F氏の場合は世間から厳しい糾弾を受け、精神疾患を患い入院し、表舞台から完全に姿を消しました。

福島第一原発作業員の声

これを踏まえて本サイトで報じている『24時間テレビ』のヤラセはどうなのでしょうか。

2011年3月11日に起きた東日本大震災の惨状は、今でも日本中に暗い影を落としています。僕の事で恐縮ですが、2011年の夏頃から福島第一原発作業員たちにインタビューして本を上梓しました。彼らの地元は被害の遭った双葉郡でした。話を聞くうちにその惨状を知り、こちらが涙ぐんでしまった事もありました。

今回の『24時間テレビ』の捏造について、当時取材した作業員・被災者の一人に尋ねてみました。「俺たちはネタにされているじゃないですか」といった答えが返ってきました。「この捏造を本サイトで報道してみるよ」とさらにLINEしたところ「是非お願いします」という返答でした。

この言葉を日本テレビ『24時間テレビ』制作スタッフは重く受け止めて頂きたいと思います。

つまり、日本テレビ『24時間テレビ』は被災者をネタにし、捏造番組を制作し、それに感動した視聴者から募金を募った事になります。「テレビだから」では許されない事は自明の理ではありませんか。

そして、それを裏付ける取材経過を本サイトでは三回にわたって掲載してきました。取材はこれだけに終わりません。さらに、「24時間テレビ」捏造の構造についても深く掘り下げていきます。

フェィクニュースが世界的に問題にされている現在、未だにこのようなドキュメントの仮面をかぶった捏造番組が堂々と放送され、それが見逃されている事に驚きを禁じ得ません。

捏造の前例として出して、朝日新聞サンゴ記事捏造事件はどうなったのか。旧石器ねつ造事件のF氏はどうなったのか。そして今回の『24時間テレビ』の捏造(疑惑とここでは留めておきます)はどうなるのか。注視していきたいと思います。(文◎久田将義)

※タイトルイラスト制作・小金井

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