「お腹を空かせて来てください」五感で楽しむ!”食”と”映画”の新感覚コラボ「フード・フィルム・フェスティバル」来春、日本初上陸!

2007年にニューヨーク・ブルックリンで始まった、「フード・フィルム・フェスティバル」(略称FFF)。スクリーンに映る食事がその場で座席に運ばれてくる、食と映画がコラボレーションした新感覚の映画祭が、2020年4月に日本へ初上陸する。「THE FOOD FILM FESTIVAL TOKYO 2020」(略称FFFT)と題された映画祭の、プレイベントが2019年12月に東京で開かれた。

映画を観ながらミニサイズのフルコースを食す!

「食と映画がコラボってどういうこと?」と不思議に思いつつ、「お腹を空かせて来てください」というお誘いの言葉に従い、会場である天王洲へ。ウェルカム・ドリンクにワインをもらって着席すると、短編映画の上映が始まった。寿司の原点を森枝幹シェフが追いかけるセミ・ドキュメンタリー『SUSHI ORIGIN AND THE BEYOND』(石川寛監督)をはじめ、「もしタランティーノやウェス・アンダーソンが料理を撮ったら?」といった遊び心あふれるパロディなどが上映された。そしてスクリーンに寿司が映って美味しそうだなと思うと、そのタイミングで寿司が、デザートが映ると一口サイズのデザートが座席に運ばれてくる、という趣向で、映画を観ながらミニサイズのフルコースを食すことができる、というのがFFFの基本スタイルだ。

そして上映後には、隣接するパーティー会場で、映画に出てきたシェフや生産者たちがより本格的な食事を提供。食について話を聞きながら交流をする、という流れになっていた。この五感で楽しむ異色のフェスティバルの創始者は、映像作家で、ハンバーガー・エキスパートとして著書もあるジョージ・モッツ。彼がフード・フィルム・フェスティバルを思いついたきっかけを、尋ねてみた。

(左)ジョージ・モッツ、シェフの薬師神陸、アーロン・アンガー、森枝幹、アマナ代表・進藤博信

「僕が自分の短編を持ってある映画祭に参加したとき、短編作家の扱いはイマイチだし、食事もあまり美味しくなかったんだ。だったら映画と食事をみんなで愉しめる映画祭を自分で作ってしまえ、というのが最初の思いつき。そこから発展していき、食のプロと映画のプロが一緒になった、今の形になったんだ」

ジョージ・モッツはフェスティバル最終日の2020年4月19日にバーガーフェスを開く予定で、こちらも楽しみだ。

映画を観て、食べて、楽しんで、食の未来を考える

『SUSHI ORIGIN AND THE BEYOND』は2019年のFFFニューヨークで、Food Filmmaker of the Year Awardを受賞した。映画の中では、何故かふんどし姿だった森枝シェフ(サーモン・アンド・トラウト、chompoo)が、4月のFFFTではフードディレクターに就任。会場では滋賀県の郷土料理であり、最古の寿司といわれる「ふなずし」を使った新感覚の押し寿司を振る舞ってくれた。これがコクがあって美味しかった。森枝シェフは映画祭を通じて、食のサステナビリティも追求していくという。

ニューヨークのフーディー(オーガニック素材や環境にこだわる新世代のグルメ)にとって、FFFの本拠地ブルックリンは今や食の聖地。そこから生まれた映画祭だけに、単なるグルメイベントにとどまらず、食にまつわる社会問題も取り上げていくという。今回のイベント会場でも、プラスティック容器は極力使わず、環境に配慮した紙容器WASARAでワインも提供されていた。観て、食べて、楽しんで、食の未来とSDGs(持続可能な開発目標)を考える映画祭になりそうだ。

なおFFFTでは4月の開催に向けて、魚をテーマにした短編フードフィルムを公募しており、最優秀作品は東京とNYで上映される。詳しくは映画祭ホームページへ。

© ディスカバリー・ジャパン株式会社