リーグ連覇達成、森MVP、松坂復帰、日没コールドも… 西武の2019年10大ニュース

首位打者とリーグMVPに輝いた西武・森友哉【写真:荒川祐史】

最大8.5差をひっくり返した強さ、来季は日本シリーズ進出に期待

 今年も若手とベテランの力がかみあって、2年連続のリーグV。捕手の森友哉が首位打者を獲得、山川穂高が2年連続の本塁打王と山賊打線は破壊力抜群だった。しかし、クライマックスシリーズでまたしても敗れ、日本シリーズは叶わなかったが、来季もプロ野球を沸かせてくれるだろう。西武の2019年の10大ニュースを、1年間チームを追ったライター・安藤かなみ独自の視点で振り返る。

○8.5ゲーム差から逆転! 2連覇を達成

 昨オフに投打の柱が流出。開幕ローテに内定していた榎田、内海が故障で離脱し、昨季最多勝の多和田がまさかの1勝止まりと投手陣の運用は苦しい状況に。しかし、高橋光が自身初の2桁勝利をマークし、新外国人投手のニールが球団の外国人投手の新記録となる11連勝を飾るなど、シーズン中盤には光明も。打線は8月、不振に陥った山川を4番から外し、中村を4番に起用。この打線の入れ替えが功を奏し、最大8.5差あった首位・ソフトバンクを猛追。パ・リーグ史上最も遅い130試合目で首位に立ち、劇的な逆転優勝を飾った。

○中村400号&栗山球団安打記録更新

 中村が史上20人目となる400号本塁打を達成。シーズンを通して自身4年ぶりとなる30号到達&4度目の打点王に輝いた。さらに、栗山も8月に通算100号本塁打を達成。プロ18年目で積み重ねた通算安打は1825本となり、石毛宏典氏が持っていた球団の通算安打記録を更新するなど、名実ともにミスターレオとしてチームをけん引した。同期入団で生涯西武愛を貫く「真獅子の骨と牙」と呼ばれる2人が来季もファンを心酔させる。

○森、捕手として史上4人目となる首位打者獲得でパMVP

 若き司令塔・森友哉捕手が打率.329と打ちまくった。今季は126試合に捕手として先発出場し、打線では中軸にどっかりと座ってその存在感を発揮。本塁打もキャリアハイの23本をマークした。シーズン終盤にはオリックス・吉田正とし烈な首位打者争いを繰り広げ、自身の試合が終わると「吉田正尚ヒット打った?」とオリックス戦の結果を欠かさずチェックしていたことが優勝祝勝会の場で暴露された。ちなみに吉田正は森の2学年先輩。

○山川2年連続本塁打王など西武強力打線が打撃5冠

 目標に掲げていた50本塁打には届かなかったものの、43本塁打を放った山川が2年連続のキングに。首位打者に森、打点王に中村、盗塁王に金子、最多安打には秋山がそれぞれ輝き、西武勢が打撃タイトル6部門のうち5部門を占めた。打点王の中村は満塁の場面で打率.531と衝撃的な勝負強さを見せ、シーズン終盤は「満塁で中村と勝負するなら歩かせた方がマシ」という風潮も生まれた。

○神様、仏様、平井様! フル回転で81試合登板

 とにかく投げた。平井はフル回転で81試合登板を果たし、1961年に球団OB・稲尾和久氏が残した1シーズン78登板という球団記録を更新。大車輪の活躍で2連覇に大きく貢献した。CS直前に右太もも裏を肉離れしながらも投げ続けた令和の鉄人。今オフの契約更改では1億円プレイヤーの仲間入りを果たし、ドラフト5位の下位指名からの大出世。オフはゆっくり休んでほしい。

○十亀、金子が複数年契約で残留 生涯西武でファン涙

 来季中にFA権を取得する見込みの金子。契約更改後の会見で来季から4年契約を結んだことを明かし、「ライオンズの全部が大好き。よそ(他球団)に行きたいという気持ちが芽生えなかった」とチーム愛を語って事実上の生涯西武宣言。さらに今季FAを取得していた十亀も「仁義を通すことが一番」と宣言残留を決意し、3年契約を新たに結んだ。この発言の数々に西武ファンは涙。より一層の声援を誓った。

松坂大輔が復帰、ライオンズのユニホーム姿が再び見られる

○ニール、日本愛

 11連勝を含む12勝でチームの救世主となったニール。登板前日にはお立ち台で披露する日本語を報道陣から習い、「ファンの皆さん、アイシテル」「ゲンダ、トノサキ、タマラン!」と絶叫しスタンドを沸かせた。休日は温泉施設に足しげく通って疲れを癒したナイスガイ。来季から2年契約を結んでおり、「日本の生活はホームだし、故郷のようだよ。次に来日するまでに日本語をもっと勉強しないとね」と笑顔で離日。来季も日本愛を炸裂させる。

○20年ぶり日没コールド

 8月28日の釧路市民球場は曇天だった。午後1時1分から始まった日本ハム戦は、中盤まで両軍合わせて17得点を奪いあう乱打戦となった。しかし、釧路市民球場にはナイター設備がなく、試合が進むにつれて選手が打球を見失うなど試合進行が困難な状況に。結局、8回表の西武の攻撃中に審判団がコールドを宣言し、西武が10-8で逃げ切った形になった。日没によるコールドは20年ぶりの珍事。

○平良、グローブを忘れる

 試合中にも関わらず、なぜかベンチから走って球場裏のロッカーに慌てて帰った投手がいた。2年目の平良海馬だった。この日ベンチ入りしていた平良は、出番が近づき投球練習を開始。しかし、グローブがどこにもない。グローブをロッカーに忘れてきたことに気づいた平良は慌てて三塁側のブルペンから走ってダグアウトに戻り、そこから約100段の階段を上ってロッカーに。グローブを抱えて階段を駆け下り、ブルペンに走って戻ったマイペース右腕。「将来はクローザーをやりたい」と話す強心臓っぷりをこんなところでも発揮していた。

○平成の怪物、戻る

 14年ぶりに西武に復帰することが決まった松坂大輔。入団会見では「最後はここ(西武)なのかな」と話し、西武のユニホームで現役生活を全うする考えを明かした。直球で押す投球スタイルから、ボールを動かして打者を打ち取るスタイルにモデルチェンジ。新たに背番号「16」をつけた“平成の怪物”が、その雄姿を再びファンの前で披露する。(安藤かなみ / Kanami Ando)

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