【医師監修】3歳でも夜泣きってするの? その原因や成長への影響、対策は?

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この記事の監修ドクター
大越陽一先生
杏林大学医学部卒業、杏林大学医学部小児科学教室任期助教、埼玉県立小児医療センター循環器科医長を経て現在アルテミスウイメンズホスピタル小児科勤務。小児科専門医

そもそも夜泣きとは?

医学的に明確な定義はありません が、一般的には「夜、赤ん坊や幼い子どもが泣くこと。毎夜くせのように続くことが多い」とされています。また、夜泣きの場合、激しく泣くこと以外に症状はとくにありません。

夜泣きはいつごろ起こるもの?

夜泣きがよく起こる年齢は生後6~11ヶ月です。一般に、生後3~12ヶ月の赤ちゃんのうち、1週間に3日以上夜泣きをする赤ちゃんは約20%前後とも言われています。なお、基本的に子どもが1歳を過ぎると急激に少なくなり、3歳過ぎにはほとんどないとされています[*1]。

3歳で夜泣きが復活! なぜ?

「通常、3歳過ぎに夜泣きはほとんどない」と説明しましたが、実際は3歳になっても夜泣きするケースはあります。それはなぜなのでしょうか?

このころはまだまだ睡眠サイクルが不安定

夜泣きには明確な定義はないと紹介しましたが、夜泣きの原因もはっきりとしていません。しかし、ひとつの原因として、このころはまだ睡眠の発達が大人に比べると未熟であるということが影響している可能性はあります。

新生児のころは授乳と排泄で2、3時間おきに目を覚ましながら、一日に何度も眠ります。これが1歳ごろになるとだんだん夜眠るようになってきますが、まだ午前と午後に昼寝が必要なように、細切れで睡眠する傾向は残っています。

2歳以上になると、深い眠りのノンレム睡眠と浅い眠りのレム睡眠の区別がだんだんはっきりとしてきて、だいぶ睡眠の周期が整ってきます。ちなみに大人の場合は、入眠からノンレム睡眠(90分)とレム睡眠(90分)のサイクルをだいたい4回ほど繰り返したのち自然と目が覚めることが多いようです。

3~4歳まではこの周期が大人より短く、1回40~60分の繰り返しで、5~10歳になってようやく90分周期に近づいてくるのだとされています。また、こうした睡眠周期の変化もあり、3~6歳ごろには昼寝をとらなくなっていきます[*2, 3, 4, 5]。つまり、3歳ごろは、大人に比べれば睡眠の機能はまだまだ発達途中なのです。

このころに夜泣きを起こす可能性のあるもの

さきほど紹介したとおり、3歳ごろの夜泣きにはこのころの睡眠サイクルの発達が影響している可能性もありますが、夜泣きの原因はそもそもはっきりしていません。ここでは、睡眠の発達以外で夜泣きを起こす可能性のある事柄をいくつか紹介します。

環境が変わった

保育園で担任の先生が変わったり、引っ越しをしたりなど、環境が大きく変わると、一時的に夜泣きすることがあります。また、「昼間にぎやかなところへ行った」「刺激的な体験をした」ということが夜泣きの原因になることもあります。

不快感がある

暑すぎる、寒すぎる、体の痛みがある、怖い夢を見たなどの不快感も夜泣きの原因となります。

病気が隠れている

下記の病気が隠れていることもあります。

不眠症

乳幼児の約1~3割 は、寝床に入ってもなかなか寝付けないといわれています[*5]。

睡眠関連呼吸障害

手足をばたばたさせたりいびきをかいたりする場合はとくに、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。ほとんどの原因はのどや鼻の奥にある扁桃が肥大することで空気の通り道が狭くなることですが、近年では肥満が原因となるケースも増えています。

パラソムニア(睡眠随伴症)

ノンレム睡眠からの不完全な覚醒による障害です。子どもでは夢遊症(睡眠時遊行症)、夜驚症(睡眠時驚愕症)、錯乱性覚醒などが多くみられます。パラソムニアについてはのちほど詳しく説明します。

睡眠関連運動異常症

睡眠中に頭を前後や左右に動かしたり,体幹を左右に動かしたりするなどの同じ運動を繰り返す症状のことをいいます。たとえば、夕方から夜にかけて下肢を動かさずにはいられなくなる「レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)」などが挙げられます。

その他の子どもの睡眠の病気

昼間に過度の眠気に襲われる過眠症や、睡眠と覚醒のタイミングが正常よりも遅れたり、サイクル が 24 時間より長くなったりする概日リズム睡眠覚醒障害もありますが、これらは基本的に思春期以降に見られることが多いとされています。

受診が必要なケースはあるの?

子どもの睡眠障害はたいてい断続的もしくは一時的に起こるため、多くは治療の必要がありません。入眠から1~3時間後に起こる夜泣きなどの異常行動は「覚醒障害」と呼ばれていますが、こちらも年齢が上がれば自然に治ることがわかっています。

しかし、あまりにも症状が強い場合は、睡眠導入剤や漢方薬などの薬で治療することもあります。

また、もし、一晩に何度も症状が出たり、症状が悪化したりする場合はてんかんではないか調べる必要もあるため、脳波の検査などを行うこともあります。 気になる場合は、小児科を受診してみましょう。

「夜驚症」ってなに?

子どもの約25%がなんらかの睡眠障害を経験します 。その代表的なものが、先ほど挙げた「パラソムニア(睡眠随伴症)」です。パラソムニアの中の1つが「夜驚症」で、睡眠中に突然驚いたように泣き叫んで起き出し、強い興奮状態が数分間続いて、その後何事もなかったかのように再び眠ります。これは2歳から学童期に起こりやすく、小児の1~6%にみられるとされています[*6]。

また、夜驚症の子どもの約3分の1は夢遊症も伴うことがあるとされています[*7]。 こちらは、睡眠中に突然起きだして部屋の中を歩き回ったりするのですが、このときに話しかけても反応しません。夜驚症も夢遊症も、興奮中の記憶は断片的であるか、覚えていないことがほとんどです。

夜驚症、夢遊症ともに、治療することなく治まることがほとんどですが、ときおり数年にわたって続くことがあります。 ただし夢遊病様症状が一晩に何回も生じたり、頻度が多い場合はてんかんが隠れている可能性もあるので小児科に相談しましょう 。

夜泣きにはどうやって対処する?

夜泣きは子どもはもちろん、親も睡眠不足でつらいもの。また、「近所迷惑になってしまうかも!」と焦って精神的にも消耗しますよね。いったい夜泣きにはどのように対処すればよいのでしょうか。

寝かしつけの癖をなくしてみる

寝かしつけのために、親が子どもに添い寝をするという習慣を赤ちゃんの時から続けている人は多いのではないでしょうか。しかし、それは子どもが「眠らなければ親がそばにいてくれる」「ひとりでは眠れない」と学習することにつながってしまいます。

3歳になれば言葉でもだいぶ理解してくれるようになります。寝る前に「もうお兄ちゃん/お姉ちゃんなんだから、ひとりで眠れるようにしてみようか」などと言い聞かせて、子どもを決まった時間に布団に寝かせたら、親は朝まで子どもを構わないようにします。そして、徐々にひとりでも眠れるようにしてみましょう。

もちろん、最初はなかなかうまくいかなくて大変ですが、根気よく続けていけば、子どもの「眠るスキル」が育っていくはずです。

怖い夢を見た場合は、安心させる

もし、子どもがストレスを感じていたり、怖い内容の映画やテレビを見たりしたりすると、怖い夢を見やすくなります。そんなときは「これは夢だから大丈夫」と声をかけて安心させるようにしましょう。

もし子どもがしょっちゅう悪夢を見るようであれば、親が夢の内容を日記に記録し、原因を特定して、それを取り除くようにするのもよいでしょう。

親の休息も大切

子どもの夜泣きは親も睡眠不足になり、ストレスでどうしてもイライラしてしまいます。夜泣きの原因を考えすぎて悩むことも多いものですが、たいした理由もなく泣いていることも多いのです。

あまり考えすぎず、 昼間眠れるときに寝る、夫婦で交代して夜泣きに対応をするなどで親もなるべく消耗しないように工夫しましょう。

まとめ

さまざまな理由で、3歳になっても夜泣きをすることはあります。夜泣きはいつかは終わるものですが、夜泣きがあるうちは親も睡眠不足やストレスでつらいですよね。夫婦で助け合いながらもできるだけ無理はせず、どうしようもないときは医療機関や地域のサポートを受けながら乗り切るようにしましょう。

(文:今井明子/監修:大越陽一先生)

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