からし蓮根伊織がM-1優勝しても「東京に進出したくなかった」理由とは 涙ながらに本音を吐露

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 お笑いコンビ・からし蓮根が、27日放送の冠ラジオ番組『さしよりからし蓮根』(ラジオ関西、金曜午後10時~)で、自身が出場した『M-1グランプリ2019』決勝についてトークを展開。約1時間にわたる収録の終盤、大会期間中に言えなかった“ある本音”を告白した。

からし蓮根のボケ担当伊織(写真:ラジオ関西)

 「俺…もう言うけど…」初出場となった『M-1グランプリ2019』について相方の青空(そら)と笑いを交えながら振り返っていた伊織が、急にシリアスな口調で話し始めた。熊本の九州学院高等学校で出会った同級生二人組は、比較的仲が良いコンビと言われることが多い。しかしこの大会期間中、しばしばその関係が険悪になったという。その原因は、東京以外を拠点とするファイナリストには必ず付いて回る「もし優勝したら東京へ進出しますか?」という質問。二人の回答には大きな相違が生まれていたのだ。

伊織 M-1決勝進出が決まって、青空がめちゃくちゃ東京に行きたがってるって分かってたからやばいと思ってたんよ。どうやって大阪に留めようかってめちゃくちゃ思ってたんよ。
青空 それはなんで?
伊織 結局東京行っても平場やと思うから。平場がまだ全然できあがってないと思って。このままいっても死ぬだけやと思って…だからこのまま大阪で1~2年ぐらいは磨きたいと思ってて…

 昨年度のM-1王者である霜降り明星も、大会制覇後の2019年4月から東京に拠点を移して活動している。2年連続M-1決勝に出場したミキも同様だ。M-1を通じて名前と漫才を全国に知らしめ、東京へ進出。そして全国ネットのテレビで活躍してスターとなる。これは大阪拠点の芸人の多くが思い描く夢のルートであろう。しかし伊織は将来的な東京進出は考えているものの、その決断を急ぎたくないと考えていた。その理由は、自身の「平場」での能力不足。「平場」というのは、この場合、主にテレビ番組における「ネタ以外」でのトークや企画の場面のことである。司会者や番組スタッフの要求に対し、即興で場を盛り上げる受け答えをすることが必要で、自分たちだけで構成する漫才とは全く違う能力が求められる。これまで大きなコンテストを制した王者の中にも、平場での活躍ができずテレビに定着できない芸人がいた。伊織は自分もそれと同じ道筋を辿るのではないかと危惧しており、まずは関西のテレビ局での地位を確固たるものにしてから、東京へ拠点を移すイメージを持っていた。かつて千鳥やかまいたちがそうであったように。

ツッコミ担当のからし蓮根・青空(写真:ラジオ関西)

 一方、ツッコミの青空は反対の考えを持っていた。「優勝したら仕上がってようが、仕上がってまいが行くべきやと思うねん。1年目のときからそのつもりでやってきた。行って学べることもあるし。やってみないとわからん。M-1だってそう。現場経験しないと。行ってみて力足りんかった。死んでしまった。ってなっても、それは自分が悪いから。」M-1優勝というおそらく人生で最も脚光を浴びる瞬間を逃してしまうと、そのタイミングは二度とやってこない。だから東京へ行くべきだ。そう考えていた。

 この意見の相違から、大会期間中「もし優勝したら?」という質問を受ける度に険悪なムードになっていたというからし蓮根。お互いにその胸の内を明かすことはなかったが、M-1を終えたこのタイミングで本音をぶつけ合うこととなった。さらに伊織は「自分が未だにわからん。お前は一生懸命にやっとけばいいって先輩に言われるけど、一生懸命が空回りというか…わからんくなるし…やっていける自信がないなあと思って…このまま順調にいって東京に行ったとしても、俺は置いていかれると思って…ほんとに苦しい……でも青空には青空の人生があるから。東京行きたいって言われたときに俺もついていけるだけの技量をつけなあかんなと思ったし…。青空はできるやん。成長スピードが速いのよ。」相方は日に日に力をつけていくが、自分は思うようにいかないまま。そんな現状への不安について、目に涙を浮かべながら語った。

相方に胸の内を明かす伊織(写真:ラジオ関西)

 終始、和気あいあいと進行していた番組収録が一転、それが電波に乗るということを忘れたかのような本音トーク。そして突然の相方の涙。全く予想していなかった展開に思わず青空は「お前…神回やで。」二人は大きく笑った。

からし蓮根・青空(写真:ラジオ関西)
からし蓮根・伊織(写真:ラジオ関西)

 意見の不一致があったにせよ、『M-1グランプリ2019』での結果は6位。東京に進出するかの判断は先送りとなった。しかしこの大会を通して伊織は、これから『M-1グランプリ2020』までの一年間への意識が大きく変わったという。

「来年は行くって言うよ。そのつもりでいくよ。仕上げる。任せて。」

 大きな決意を胸に、確実に同じ方向へ歩み出したからし蓮根。令和2年、二人の躍進が期待される。

からし蓮根(写真:ラジオ関西)

※ラジオ関西『さしよりからし蓮根』2019年12月27日放送回より