長崎県2019 ローマ教皇「核廃絶」訴え 基幹産業の転換期 長崎駅周辺再開発…

2019年も残すところきょう1日。県都ではJR長崎駅周辺の再開発が進み、11月にはローマ教皇フランシスコが核廃絶のメッセージを世界に発信した=30日午後4時51分、長崎市出雲2丁目、鍋冠山公園から市街地を望む

 「平成」が終わり「令和」に改元された2019年。全国では、台風と大雨による甚大な被害が相次ぎ、ラグビーワールドカップ国内開催と8強入りに沸き、消費税率の引き上げに家計の負担は増した。長崎県内でも平和や経済、まちづくりなどに関わる出来事が耳目を集めた。

 11月24日、ローマ教皇フランシスコが長崎市を訪れた。教皇としては1981年2月の故ヨハネ・パウロ2世以来、2度目。爆心地公園で「核兵器のない世界は可能」と発信したメッセージは、被爆者や次世代を担う若者たちに大きな感銘を与えた。
 経済界ではビッグニュースが相次いだ。富士フイルム、京セラ、デンソー、楽天-。名だたる大手企業グループが長崎市への進出を表明。三菱重工業は航空機向けエンジン事業を拡大するため、同市の長崎造船所内に部品工場を新設すると発表した。また三菱重工業が12月、長崎造船所香焼工場の売却を含めた検討を開始することで大島造船所(西海市)と合意したとの発表は、本県を支えてきた基幹産業が大きな転換期を迎えたことを示唆した。
 まちづくりも大きく変わろうとしている。長崎市のJR在来線の連続立体交差事業が進み、長崎駅周辺の再開発が本格化。高級ホテルや駅ビル、MICE(コンベンション)施設「出島メッセ長崎」の開業など数年後には県都の景観が大きく様変わりする。
 一方で、22年の暫定開業が迫る九州新幹線長崎ルートでは、未着工の新鳥栖-武雄温泉の整備方針を巡る本県と佐賀県の議論は平行線をたどった。新幹線と在来線特急を乗り継ぐ「リレー方式」の長期化は、沿線自治体のまちづくりに与える影響が懸念されている。
 長年の県政課題である国営諫早湾干拓事業や石木ダム建設事業では関連訴訟が続き、混迷を深めたまま。
 新年は被爆75年の節目。東京では56年ぶりに夏季五輪・パラリンピックが開催される。教皇が発信した世界平和へのメッセージを胸に刻み、県勢の活躍を期待しながら、令和最初の大みそかを迎える。

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