体感治安悪化、住民不安… 略式代執行で空き家解体 1月にも厚木市

繁茂したつるが壁面を覆う特定空き家=厚木市下津古久

 神奈川県厚木市は2020年1月中旬にも、放置すれば倒壊などの危険性がある「特定空き家」と認定した住宅2棟を、略式代執行で解体・撤去する方針を固めた。実施されれば、市内では初、県内では横須賀市に次いで2例目。不明の所有者に代わって市が撤去し、地域の不安を解消する。

 2棟は下津古久地区と船子地区にあり、いずれも木造2階建て。建物と土地の所有者は05年と15年にそれぞれ亡くなり、相続の権利を持つ配偶者らも権利を放棄。所有者は「不存在」になっている。

 市は今年10月、空き家対策特別措置法に基づき、2棟を特定空き家に認定。今月21日までに荷物の搬出や住宅の取り壊しをするよう求め、なされない場合は市が略式代執行で解体・撤去することを公告した。23日時点で変化はなく、市は解体業者の選任など手続きを進めることを決めた。

 市は2棟について「体感治安の悪化に加え、衛生面や景観上の悪影響を及ぼす状態だった。地域住民から不安の声も寄せられていた」と説明。「初めてのケースで慎重を期し、1月中旬をめどに実施したい」としている。

 市は解体・撤去後、小田原家裁に財産管理人を申し立て、家裁が選任した財産管理人が売却など処分を進める。市はその費用から、解体・撤去などの費用を回収する方針。

 国土交通省住宅総合整備課によると、特定空き家の略式代執行は、横須賀市が15年、全国で2番目に実施した。

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