【MLB】イチローは「驚異的。魔法じみていた」米野球殿堂館長が振り返る伝説的偉業

マリナーズの会長付き特別補佐兼インストラクターを務めているイチロー氏【写真:Getty Images】

米野球殿堂のティム・ミード館長が振り返るイチロー「2つの大陸で継続して偉業を…信じられないことですね」

 今年3月のアスレチックスとの日本開幕戦後に現役引退を表明し、マリナーズの会長付き特別補佐兼インストラクターを務めているイチロー氏。メジャー1年目の01年に史上2人目のMVP、新人王を同時受賞。04年にシーズン最多262安打、10年連続200安打を記録するなど輝かしいキャリアを積んできた。

 イチローは2025年に米野球殿堂入りの資格を取得する。米メディアではイチローが紹介される際に「将来の殿堂入り選手」と記されることが多く、日本人選手初、資格1年目での殿堂入りはもちろん、ヤンキースで歴代最多セーブを挙げたマリアノ・リベラ氏しかいない満票選出も期待される。今年7月までエンゼルス副社長を務め、米国野球殿堂の新館長に就任したティム・ミード氏は、イチロー氏が築き上げてきたキャリアを目を丸くして振り返った。

「驚異的と言えます。歴史的なものでもありますね。このクーパーズタウンにいる選手は、全員歴史的な選手たちです。彼が2つの大陸で、しかも継続して偉業を成し遂げているのですから、信じられないことですね」

 日本で9年、米国で19年、計28年間のキャリアで日米通算4367本安打を放った背番号51。メジャーデビューイヤーからベースボールに対する尊敬の気持ちを示してきた。2001年シーズンオフに初めて訪問してから16年シーズンオフまでに7度クーパーズタウンを訪問。ストイックな求道者はベースボールへの探究心、尊敬の気持ちを示してきたという。

「彼とジェフ・アイデルソン(元米国野球殿堂館長)は友好関係を築いています。限られた時間の中で私は彼と話をして、時を共有しましたが、彼には“敬意”という言葉が当てはまります。彼は野球に対して本当に敬意を持っています。彼のようなことができる選手を再び目にすることは、しばらくないでしょう」

米国野球殿堂博物館館長のティム・ミード氏【写真:編集部】

 現在も米野球殿堂にはマリナーズ時代の04年にシーズン最多262安打を記録した際のバットやグラブ、ユニホームをはじめ、熱狂的ファンのエイミー・フランツさんの安打数を表示する「イチ・メーター」など多くの記念品が展示されている。

「彼が現役時代に日々してきたことを目にするのは、ほとんど魔法じみていました。恐らく、彼は究極の(野球の)求道者です。そして、彼のキャリアついて勉強したり、アプローチを分析すれば、自己管理の仕方をはじめとした様々なことを、人々は彼から学ぶことができるでしょう」

 ニューヨーク州にあるベースボールの町、クーパーズタウンからは今も熱い視線が送られている。(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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