2020年長崎の経済、慎重な見方 7年ぶりマイナス水準 長崎新聞・長崎経済研究所合同企画 企業・団体トップ100人調査

新年の長崎県経済の見通し

 十八銀行系シンクタンクの長崎経済研究所(長崎市)が県内主要企業・団体トップにアンケートした2020年県内経済見通しは、回復予想から悪化予想の割合を差し引いた判断指数(DI)が前年に比べ6.2ポイント下落しマイナス4となった。マイナス水準に落ち込むのは7年ぶり。人手不足や造船業の不振、日韓関係悪化によるインバウンド(訪日外国人観光客)減少が影を落としている。
 回答割合で最も多かったのは「横ばい」。前年比0.8ポイント増の55.6%を占めた。
 「回復する」は前年と同様に回答数ゼロ。「やや回復する」は3.5ポイント少ない20.2%にとどまった。プラス要因として、九州新幹線長崎ルートやMICE(コンベンション)施設「出島メッセ長崎」、サッカー専用スタジアムを核とする「長崎スタジアムシティプロジェクト」など県都・長崎市中心部開発の進展に期待が集まった。
 一方、前年1.1%あった「悪化する」は回答企業がなかったが、「やや悪化する」が3.8ポイント増え、24.2%に上った。マイナス面として、人手不足の慢性化や、大手造船会社の事業再編に伴う先行きの不透明感、訪日韓国人客の減少などが挙がり、昨年よりも慎重で、先行きを懸念する見方が目立った。
 ただ、同研究所の中村政博調査研究部長は「県内経済全体で見れば厳しいが、自社の業績見通しは堅調-と分けてみる向きが多い」と分析。その上で「民も官も設備投資が増え、数年先まで見込めるなど、プラス材料は少なくない」として積極的な企業活動による底上げに期待を寄せた。
 一方、国内経済見通しのDIはプラス9.1。前年を9.2ポイント下回ったもののプラス水準を維持した。東京五輪・パラリンピック開催に伴うインバウンド増加や消費活性化への期待が大きく、同研究所は「年央にかけて緩やかな景気回復が続く」とみる。しかし、米中貿易摩擦の激化や英国の欧州連合(EU)離脱、中国経済の減速を警戒する見方も強く、同研究所は「こうした海外由来の下振れリスクが顕在化した場合、企業行動が慎重になる可能性もある」と指摘した。
 アンケートは毎年12月に選択式と記述式で実施し、今回は100人が回答。業種別の内訳は製造28、運輸9、水産2、建設10、卸売11、小売11、電力・ガス・通信4、サービス13、その他12。

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