華麗に熱く 「知的な楽しさ広めたい」ママ雀士・瑞原明奈選手(佐世保出身) プロ最高峰「Mリーグ」で活躍 

「Mリーグをいろんな人に知ってもらい、もっと盛り上げたい」と話す瑞原選手 

 マージャンの男女トップ選手29人が8チーム対抗で競う国内最高峰のプロリーグ戦「Mリーグ」で今季、佐世保市出身の新鋭、瑞原明奈(みずはらあきな)選手(33)が活躍している。4歳の長女と1歳の長男を育てるプロ6年目のママ雀士(じゃんし)。「U-NEXTパイレーツ」の一員として、昨年9月のMリーグ開幕から参戦。全試合がインターネットテレビ局で放送されており、ファンの応援を背に歴戦の猛者たちと真剣勝負を繰り広げている。

 マージャンは4人が卓を囲み、手牌(てはい)を他のプレーヤーに見えないように持った状態で山から牌を1枚引き、1枚捨てることを繰り返す。14枚の牌で「役」を完成させ、上がることを目指すゲームだ。引いた牌の良しあしなどが勝負の行方を左右し、技術に加え運も重要な要素となる。
 青と黒を基調にしたチームユニホーム姿が似合う瑞原選手。「毎回ツモ(山から牌を引くこと)のときにドキドキする」「マージャンがホントに好きで…」。瞳を輝かせてそう語る。
 マージャンとの出合いは、県立佐世保西高卒業後に進んだ早稲田大生のころ。プロの対局のテレビ観戦にのめり込んだ。テレビでは4人全員の手牌を見ながら展開を楽しめる。誰かの選択が他の運命を変え、1局ごとに違う物語を織りなす。「最初は牌がきれいだな、牌がぶつかる音が好きだなと思って見ていて、ルールを覚えた。そのうち、マージャンのストーリー性に魅了された」と振り返る。それでも、実際に対戦する機会は少なかった。
 大学卒業後、東京で一般企業に就職。25歳で結婚、退職後の2012年から、ネット配信のマージャン番組に出演したのが転機になった。「夫に『そんなにマージャンが好きなら(番組出演の採用面接に)行ってくれば』と言われて。番組でプロに教えてもらったり大会に出場したりしているうちに、プロに挑戦したい気持ちが大きくなった」
 14年、プロ団体の試験に合格し、プロ雀士になった。その年に長女を妊娠した。産休・育休中の16年、ネット上で対戦するマージャンのオンラインゲーム「天鳳」で最高位の9段を獲得。長男出産後の19年7月、U-NEXTパイレーツ加入が決まった。同9月の女流プロ大会「プリンセスリーグ2019」決勝で見事勝利。初タイトルを引っ提げてMリーグに挑んだ。
 「この舞台で戦えることが光栄。すごい緊張感で重圧もあるが、それを上回って楽しいという気持ちが強い」。レギュラーシーズンでは現在、12試合に出場し個人成績は18位、チームは7位。チーム優勝はもちろん、リーグを盛り上げることも目標。「昔の私のように、対局を見て楽しむ人がもっと増えたら」と願う。
 子育てとの両立は大変だが「子どもに戦っている姿を見せられるのは幸せ」と勝負師らしい言葉。最近、マージャンを教え始めたという長女が毎試合、テレビの向こうで応援している。「マージャンのイメージは変わっていくと信じている。知的ゲームとして、もっと愛される存在になるはず。そのために少しでも貢献したい」と語った。

◎観戦専門「見る雀」も

 マージャン(麻雀) 34種類136枚の牌を使って遊ぶ中国発祥のボードゲーム。4人のプレーヤーが13枚の手牌を持って対局を進め、計14枚の牌で決まった形の「役」が出来た人が上がり。牌の種類や数字の組み合わせで多彩な役があり、難易度などによって点数が違う。所定の対局数を行って点数を取り合い、最後に持ち点が多い人が勝者となる。近年は「賭けない、飲まない、吸わない」をモットーに高齢者らが楽しむ健康マージャンや、観戦専門の「見る雀」も普及、2007年から「ねんりんピック」の正式種目となっている。

◎全試合ネット放送

 Mリーグ 2018年発足したマージャンのプロリーグ戦。メディア関連や広告代理店などの企業でつくるMリーグ機構(代表・藤田晋サイバーエージェント社長)が運営し、各企業チームとプロ契約した選手(1チーム3、4人)が戦う。インターネットテレビ局「AbemaTV」が全試合を放送。19年シーズンは同年9月~20年4月で8チームが参戦。各試合の勝敗や持ち点に基づくポイント制で、各チーム90試合のレギュラーシーズン後、上位6チームでセミファイナルシーズンを各16試合、上位4チームでファイナルシリーズを全12試合行い、優勝チームを決める。

全試合が開催される「Mリーグスタジオ」で取材に応じた瑞原明奈選手=東京都港区

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