DeNA伊藤裕、「ポスト筒香」に決意 「その日その日にベストを」

 米大リーグ、レイズへ移籍する筒香が抜けた2020年、22年ぶりの日本一には新たな力の台頭が欠かせない。大卒2年目の横浜DeNAベイスタ-ズ伊藤裕季也(23)は、佐野、細川と並ぶ近未来の4番候補だ。スター性あふれる若き長距離砲は「チャンスは少ないかもしれないけれど、その日その日にベストを尽くす」と決意を語る。

 昨季、プロ1年目の伊藤裕はレギュラーシーズン後も慌ただしかった。代打出場した阪神とのクライマックスシリーズを終えると、ファーム組が中心となる宮崎のフェニックスリ-グに参加。11月の奄美キャンプ後は台湾のウインターリーグ(WL)へ渡った。12月中旬の帰国後も母校・立正大などで新シーズンに向けて準備を整えた。

 ドラフト2位で入団し、一発を秘める大型二塁手と期待されたルーキーイヤー。1軍初昇格は8月上旬までずれ込んだが、持ち味のパワーで鮮烈な印象を残した。初スタメンを飾った8月10日の中日戦ではプロ初本塁打を含む2打席連続弾。出場21試合ながら4本塁打、長打率5割9分6厘と才能の片りんを見せた。

 シーズン後も研さんを怠らない。内股気味に左足を上げていた打撃フォームを一から見直し、「効率のいいやつが見つかった」とようやく手応えを得たのは12試合に出たWLの最終盤。打率3割1分1厘を残して、「ずっとやりたいと思っていた」と5盗塁もマークした。

 メジャー移籍する筒香と一緒に過ごす時間は少なかったが、「本当に何気ないひと言がすごく背中を押してくれた」と振り返る。

 8月14日のヤクルト戦。八回途中までノーヒットに抑えられていたベテラン石川に一矢報いた一発が忘れられない。打席に入る前にベンチ裏のトイレでキャプテンと鉢合わせ、「思い切っていけよ」と背中をたたかれたた。「あれですごい気持ちが楽になった」。追い込まれてから決め球のシンカーを左翼席へ放り込んだ。

 ラミレス監督は今季、2年連続本塁打王・ソトの一塁手併用プランも明かしており、二塁が空く可能性もある。ポスト筒香として期待が掛かるが、「自分はまだ全然(主砲)候補ではない。チャンスは一回来るか来ないか。一番最初にきたチャンスをしっかりつかめるようにしないと」と表情を引き締めた。

© 株式会社神奈川新聞社