タトゥー入浴OK? 武雄・嬉野温泉 五輪見据え対応模索 

「反社」「ファッション」苦慮

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入れ墨やタトゥーを入れた来場客は貸し切り湯に誘導する対応をとっている武雄温泉=武雄市武雄町

 訪日外国人客が増える中、タトゥー(入れ墨)をしている人の入浴について、武雄市や嬉野市の温泉地が対応を検討している。嬉野市は東京五輪・パラリンピックのホストタウンに登録、そのほか県内各地で事前キャンプも予定されており、欧米からの観光客の増加も予想される。国内では反社会勢力のイメージが根強く残る一方、ファッション感覚で彫っていることに理解を示す声もあり、受け入れ始めている施設もある。

 「入れ墨を許容するまでの社会になっていない。お客さんの心情を考えると、断らざるを得ない」。武雄温泉(武雄市)では、2013年ごろから入れ墨をした客の入浴を断っている。ただ、外国人旅行客を中心とした入れ墨文化に理解も示していて、運営する武雄温泉株式会社では5部屋ある貸し切り湯に誘導している。同社は「遠い国からはるばる来てもらっているので入浴してほしい気持ちはあるが、武雄温泉全体のイメージに影響することもあって悩ましい」と吐露する。

 10年にリニューアルした嬉野市の公衆浴場「シーボルトの湯」でも同様の対応をとっている。運営する嬉野温泉観光協会は「高齢者の利用が多く、抵抗がある人は少なくない」と話す。

 ワンポイントの入れ墨であれば、入浴を受け入れている施設もある。武雄市の温泉旅館「京都屋」では約10年前から、5センチから10センチ程度の入れ墨であれば入浴できるようにしている。「最近はおしゃれで入れているというイメージ。外国の文化も尊重していきたい」と説明する。「基本的には断っているが、国内の観光客が先細る中、外国人客に目を向けている側面もある」とも明かす。

 観光庁が15年に全国の旅館などを対象に実施した調査(約600施設回答)では、入れ墨がある人の入浴について「断っている」が55.9%、「断っていない」が30.6%、「シールで隠すなど条件付きで許可する」が12.9%だった。

 九州有数の温泉地・大分県では、入れ墨があっても入浴できる施設をまとめたホームページを19年3月に開設した。県観光政策課の担当者は「旅館などに対してタトゥーの受け入れを強制するつもりはなく、入れるかどうかの事実を知ってもらうことが目的」としている。

 嬉野市観光商工課や嬉野温泉観光協会によると、市内の温泉入浴施設は32軒で、入れ墨をした人の受け入れは各施設の判断に任せているのが現状という。同課は「(入れ墨を)認めるのであれば、現場の混乱を防ぐためにも、統一した方向性を定めるような検討も必要」と業界でのルール作りを求めている。