「偉大な存在」筒香なきDeNAの未来は? 山崎、今永、伊藤光らが描く2020年

DeNA・伊藤光、山崎康晃、今永昇太(左から)【写真:荒川祐史】

チームの顔でありキャプテンが退団,エースに成長の今永の決意「代表するような選手に」

 DeNAは2019年シーズンで21年ぶりの2位という好成績を収めた。しかし、選手の誰からも満足する声は聞こえてこない。リーグ制覇、そして、日本一が目標のチームにとってはクライマックスシリーズ(CS)1stステージ敗退の結果では物足りないはずだ。そんなリベンジを誓う2020年は、チームの精神的支柱であるキャプテン筒香嘉智外野手が抜けての1年目という大きな意味を持つ年でもある。

 昨年の契約更改の場でエース、今永昇太投手は「これからチームを背負っていかなくてはという気持ちがある」と語った。2017年にブレークした今永だったが、一昨年は11敗(4勝)と苦しんだ。そこから、昨季は開幕投手を掴み取り、13勝7敗、防御率2.91をマーク。「今季(2019年)は三浦さんが本当は代わりそうなタイミングでも行かせてくださり、そこに責任感を持った」とエースとして育った1年だった。

 12月5日の契約更改時は筒香のレイズ入りは決まっていなかったものの、「筒香さんもメジャーに行くかもしれない。チームを代表するような選手になっていきたい」と、DeNAの顔として働く覚悟を示していた。

巨人の胴上げは横浜スタジアムで…2位の結果には満足せず「日本一を目標に掲げて」

 筒香の存在の大きさは誰もが口にするところで、プロ入りからその背中を見てきた山崎康晃投手も「色んな部分で引っ張っていただいた。大きい存在感がある」とその穴の大きさを語る。2018年にトレードで加入した伊藤光捕手も「存在感、発言力はベイスターズにとって偉大な存在」と話した。「でも、いなくても勝てるチームにならないと」。

 昨年4月に10連敗と成績が落ち込んだ時期もあったものの、鬼門の交流戦で勝ち越し、9月初めには首位巨人とのゲーム差を2.5まで縮めた。優勝を狙って終盤ももがくDeNAは9月21日、本拠地・横浜スタジアムでM2の巨人と戦った。中盤まで2点リードで試合を進めたが、9回に山崎が同点に追いつかれ、延長10回のマウンドに上がった三嶋一輝投手が勝ち越し打を浴びた。

 目の前で胴上げを許す屈辱に、ナインはベンチで静まり返った。その様子を食い入るように見つめていた伊藤光は「優勝できなかったのは、ちょっとの差が大きな差になったこと。優勝したいですし、本当に小さなことが大きな結果になるとチームとしても学んだ1年だったと思う」とその悔しさを語った。

 山崎も「打たれた試合の方が思い出に残っている。今年(2019年)だったら近本にホームラン打たれて10連敗まで伸びた時とか、巨人に胴上げされた時が残っていますね」と今季を振り返る。「優勝に向けてあとわずか、悔しい思いも。来年に向けて貴重な経験をさせてもらったので、無駄にしないようにしたい。悔しい思いを糧に、日本一を目標にチーム一丸に戦っていきたい」。

 2020年は5年間キャプテンとしてチームをAクラスまで導いた筒香が抜けるのは大きな穴だが、埋められない穴ではない。山崎は「モニターを通して(筒香を)見て自分が刺激を受ける部分は本当に大きいと思う。筒香さんも言ってましたけど。“(DeNAは)ファミリーだから、アメリカに行ってもベイスターズの一員として”と。日本一を目標に頑張りたいなと思いますし、それが1番、筒香さんに良い報告になるんじゃないか」。遠くから見守り、遠くで奮起する筒香の姿が山崎にも、チームにも刺激となるだろう。(臼井杏奈 / Anna Usui)

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