東洋大の箱根路、往路の見どころは 区間エントリーとコースを解説 2日朝号砲

By 森尾 伊久美

 明日1月2日から、2日間にわたり開催される東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)。駅伝に興味が無くても、元日のニューイヤー駅伝と並び、正月にお茶の間で見る人は多いだろう。

 昨年の上位10校(シード校)と、10月に開催された予選会の上位10校、そして関東学生連合チームの合計21チームが襷(たすき)をつなぐ。東洋大は前回、往路で優勝・総合3位。他大学との混戦が予想される中、18年連続78回目の出場で6年ぶり5度目の総合優勝を狙う。

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1区・西山和弥

 3年連続で1区に選ばれた。2年連続で区間賞の走りを見せているが、今年も区間賞を獲れば、第87・88回大会で1区連続区間賞の大迫傑の記録を超える。出雲・全日本では本来の走りができなかったが、毎年箱根へのピーキングは抜群。壮行会のインタビューでも「箱根だけは譲れない」と話した。2区の相澤を活かせる展開に持ち込めるかが、懸かっている。

 1区は読売新聞本社前をスタートし、京急線に沿って鶴見に向かう平坦なコース。集団走になるので選手が牽制し合い、駆け引きが見られる。誰がどこで仕掛けるかが見どころ。前回大会では西山が六郷橋でラストスパートをかけた。

2区・相澤晃

 エントリー発表前から2区か4区と言われていたが、本人の希望通り、2区に2年ぶりの選出。「花の2区」と言われ各校のエースが集結する区間。相澤の対抗馬は出てくるだろうか。西山の作るいい流れで、序盤から突き放して逃げ切る、東洋の得意パターンに持ち込む作戦か。

 目標タイムは、東京五輪マラソン代表が決まった東洋大OBの服部勇馬(16卒・トヨタ自動車)の記録を超える1時間6分30秒(本人談、壮行会後の囲み取材で)。モグス(山梨学院大卒)の区間記録1時間6分4秒にどれだけ迫れるかが見どころ。

 2区は鶴見から戸塚までの23.1kmと距離が長く、中盤の権田坂を超えるとアップダウンが繰り返される。

3区・吉川洋次

 出雲・全日本では走れなかったが、前回大会でも3区を走り、区間4位で好走した吉川。箱根に合わせられるよう練習しているとのことで、復調の様子だ。前回大会と同じ舞台が、駅伝復活戦になる。

 3区は戸塚から平塚までの21.4kmで、茅ヶ崎あたりから海沿いを走るコース。前半は緩やかに下り坂が続き、脚を使わないことが後半の失速を抑える大事なポイントになる。湘南路は海風が強いなど走りにくさもあるコース。終盤の湘南大橋を渡ると、各大学の監督が選手に檄を飛ばす。選手のギアが入れ替わると、ラストスパートをかけ始めるので必見。

4区・渡邉奏太

 全日本の1区で見事に戦線復活した渡邉は、2年次に7区を区間3位で走っている。今回大会は同区間を逆走する形に。往路優勝に向け、良い位置で繋ぎたい区間で、準エース区間という位置付け。

 4区は海風もありながら小刻みにアップダウンが続き、終盤には上り坂が待っている。前回大会では、相澤が1時間0分54秒の圧倒的な区間新記録を打ち立てた。渡邉も昨年、クロスカントリーで結果を残しており、コース適性は抜群だろう。4年生として、最高のラストランを期待したい。

5区・宮下隼人

 2年連続で5区を走った田中が選ばれるかと思われたが、5区に憧れ志願していた宮下がその座を勝ち取った。関東インカレのハーフマラソンで2位入賞を果たすと、出雲・全日本にもフル出場。全日本では緩やかな上りが続く8区を走るなど、平地も上りもこなす。

 5区は最高標高874mまで一気に駆け上がる、「山の神」が生まれる山上りコース。しかし19kmを過ぎると、最後は下りになることは、案外知られていない。酒井監督が「伸び率に期待したい」と言うように、宮下が5区でどんな走りを見せてくれるかは未知数。全日本の悔しさを晴らして往路三連覇のゴールテープを切りたい。

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