つかみかけていた勝利が、するりとこぼれ落ちた。長崎総合科学大付は終了間際の連続失点で逆転負け。後半39分、痛恨の決勝点を献上すると、ピッチ上の選手たちは思わず天を仰いだ。「弱点だった部分が最後まで拭えなかった」。キャプテンマークを巻いたFW千葉翼は、がっくりと肩を落とした。
ロングボールが押し戻されるほどの逆風の中で何とか先制に成功したが、相手の個人技に何度も翻弄(ほんろう)された。後半はシュートがポストやバーに当たる不運もあり、終盤に踏ん張りきれなかった。
抜きんでた選手が不在で「史上最弱」と言われ続けた今年のチーム。県のベスト8で負けていた集団が、チームで戦うことを知り、勝つ喜びを知って一歩ずつ成長した。そして、最後は全国常連の丸岡(福井)を追い詰めた。74歳を迎えた小嶺監督は悔しさを胸にしまい、孫ほども年の離れた教え子たちを満面の笑みで出迎えた。「それにしてもよくやってくれた」
指揮官の晴れやかな表情にはもう一つ理由がある。この試合、スタメンのうち5人が1、2年生だった。中でも2点目を挙げたMF別府、途中出場のDF児玉はまだ1年生。球際の弱さやミスが目立つ選手もいるが「将来を考えて起用したから経験不足は仕方ない。来年の今ごろは完璧なプレーをしてくれているはず」。苦しみ抜いたチームがこれから進む道には、明るい光が差し込んでいる。
勝利こぼれ落ち 長崎総合科学大付 丸岡に2-3
- Published
- 2020/01/02 12:42 (JST)
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