こんな陸の真ん中で? 沖ですか? 水郡線全駅8【50代から始めた鉄道趣味】197

トップ画像は、水戸側の踏切から川辺沖駅全体を撮りました。

不安に成る程、夏草の茂る中を走ってゆきます。

駅予告票。川辺沖? こんな陸の真ん中で? 沖ですか?

森を抜けるといきなり広い場所に出て、周囲は農地になります。駅も見えてきました。駅の左(東)側には住宅があります。

泉郷駅から2.7kmで川辺沖駅。シンプルな単式ホーム、棒状の駅です。

踏切の西側からもう一枚。

踏切からもう一枚。って単式ホームで駅舎もありません。駅の写真と言ってもこの程度です。手前はスロープになっていてバリアフリーです。

安積永盛駅方面を見ています。あの木々のかたまりを抜けてきました。勾配標は5パーミルの下り。

駅名標。最初にこの駅に来た時から「何でこんな陸地の真ん中で沖なんだ?」と不思議に思いました。駅の東、約1kmに大字川辺があります。これで「川辺」は了解できます。駅の西側には阿武隈川が沿う様に流れているので大字川辺なのかもしれません。

ところで、不思議に思ったので、その後調べてみました。沖という字には、辺が「近い場所」を表すのに対し「遠く隔たった場所」を表します。通常、我々が思い浮かべる「沖」は岸から遠く隔たった場所です。

一方で「沖」には「開けた田畑や原野の人里から遠い所」という意味もあるのです。確かに集落は500m以上駅から東に離れています。その辺りが「大字川辺」にあたります。駅の周辺には集落は無く、人家が点在している以外は概ね農地なのです。

川辺沖駅が開業した1959年(昭和34年)に、駅の周囲に現在よりも人家が多かったとは考え難い様に思います。人家の無い場所に駅を作ったから「沖」なのでしょうか?

しかし、わざわざ人家から離れた場所に駅を作るほど、当時の日本国有鉄道さんが脳天気だったとも思えないですし、駅名と駅の場所は謎です。

駅名標”なめ”で水戸方面です。こちら側には、見渡す限り人家はありません。

ホーム上の待合室。比較的新しく改築されたものの様です。ちょっと見難いのですが禁煙と貼られたシールの下に灰皿が置かれていて「これはドッキリカメラか?」と一瞬回りを見てしまいました。

余談です、大字川辺の集落北側は円通寺というお寺があって、さらに北側は丘というか森が広がっているのですが、福島県石川郡玉川村大字蒜生(ひりゅう)字「兎喰(うさぎくい)」という変わった地名なのです。フランス料理のウサギでは無く、この辺りでもウサギを食べたのでしょうか?大字蒜生には「鬼渕」もあります。

大字川辺には古墳時代に作られた宮ノ前古墳もあります。昔から人の住んできた場所なのです。

ついつい地名の話になってしまい、いつもすみません。

水郡線全駅8【50代から始めた鉄道趣味】197 に続きます。

追記:

このコラムは2019年10月に書いています。10月12日〜13日に関東から東北に上陸した大型台風19号の被害で水郡線は、郡山駅〜常陸大宮駅間の運転を見合わせています。2019年10月19日にJR東日本は、安積永盛駅〜常陸大子駅間と西金駅〜常陸大宮駅間の運転を再開すると発表しました。西金駅〜常陸大子駅間の被害は橋梁破損など甚大なため運転再開の目処はたっていないとのことです。

被害を受けたJR東日本と水郡線沿線の皆様にお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。水郡線復旧の情報が発表されましたらコラム内でも速やかにお伝えいたします。2019/10/20記

(写真・記事/住田至朗)

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