卓球が強い都道府県はどこだ?直近5年間の結果から調べてみた

写真:左から木造勇人石川佳純吉村真晴/撮影:ラリーズ編集部

東京五輪を来年に控え、日々卓球のニュースが世間に取り上げられている。東京五輪で悲願の金メダル獲得を果たすためには、卓球王国・中国越えが必須条件だ。

中国では省や市ごとにチームがあり、各地の選抜チームなどが全中国選手権や中国超級リーグで鎬を削り、実力を高め合っている。2019年の全中国選手権では、準決勝で梁靖崑(リャンジンクン・12月世界ランキング8位) vs 林高遠(リンガオユエン・同4位)と中国国内ながら世界トップレベルの戦いが繰り広げられていた。大会は梁靖崑(リャンジンクン)の活躍により八一南昌が優勝を果たした。

同じく日本でも各都道府県の代表が集い、国民体育大会(以下、国体)、全国高等学校総合体育大会(以下、インターハイ)、全国中学校体育大会・卓球競技の部(以下、全中)などで覇権を争っている。

そこで今回は日本で卓球が強い地区を探るべく、ラリーズ編集部が国体、インターハイ、全中の過去5年間の順位を1位→3pt、2位→2pt、3位→1ptでポイント付けし、卓球の強い都道府県を算出してみた。

1位 愛知県 49pt(12+15+22=49)

()内は国体+インターハイ+全中の順

写真:国体での木造勇人/撮影:ラリーズ編集部

第1位に輝いたのは、愛知県。

代表校の愛工大名電高校は、インターハイ男子団体戦で2016~2019年まで現在4連覇中。2015年度の優勝校の青森山田高校に代わり、日本で最も男子卓球の強い高校といっても過言ではないだろう。また、全中でも愛工大付属中、愛工大名電中学が男子団体で優勝を果たしており、ポイントを伸ばした。

愛工大名電高校は、現在、琉球アスティーダでプレーする木造勇人や、T.T彩たまでプレーする髙見真己、松山祐季ら、Tリーグで活躍しているプレーヤーも輩出している。また、今年の全日本大学総合選手権団体の部(通称インカレ)で優勝を果たした愛知工業大学の存在も見逃せない。愛知県で多くの卓球エリートが育成されている。

2位 大阪府 48pt(13+16+19=48)

写真:インターハイ2019での四天王寺高校/撮影:ラリーズ編集部

2位に入ったのは大阪府。1位の愛知県との差はわずか1ポイントと、こちらも卓球の最も強い都道府県といっても決して大袈裟な表現ではない。

大きくポイントを伸ばしたのは、四天王寺高校の存在が大きいだろう。インターハイ女子団体では今年で7連覇を達成。どこまで連覇を伸ばしていけるのか、注目が集まっている。全中でも、四天王寺中学の存在感は別格で、2017年度から2019年度まで現在3連覇中。全中での四天王寺の覇権も続きそうだ。

写真:T2ダイヤモンドでの石川佳純。四天王寺OG。/撮影:ラリーズ編集部

四天王寺OGには、ロンドン、リオと2大会連続でメダルを獲得し、東京五輪でもシングルス代表権を手中に収めた石川佳純がいる。ちなみに石川は、インターハイ女子シングルスを3連覇している唯一の選手で、東京五輪でも活躍が期待される。

3位 山口県 34pt(20+8+6=34)

写真:国体での吉村真晴/撮影:ラリーズ編集部

3位に入ったのは山口県。代表はやはり野田学園だ。

野田学園の選手のプレースタイルの特徴は、強烈な両ハンドドライブ。野田学園出身の吉村真晴は、高校3年生の時、全日本選手権男子シングルスで、前人未到の6連覇に挑んだ水谷隼を破り、見事初優勝を果たしました。フォアハンド主体で攻める水谷に対し、吉村は中陣からのしなやかなバックドライブ、水谷のフォアに曲がるシュートドライブを連発。水谷の堅陣を打ち破るそのプレーは、まさに野田学園で鍛え上げられたものだった。

また、2017年度全日本選手権シングルス2位の吉村和弘、2018年、19年インターハイ男子シングルス2連覇の戸上隼輔、ガッツ溢れるプレーで活躍する平野友樹なども野田学園の生んだ名プレーヤーだ。

野田学園高のインターハイ団体での悲願の初優勝にも期待が高まる。

愛知、大阪、山口の順に

今回の結果では、愛工大名電中高、愛知工業大と中高大一貫で育成を行える愛知県勢がトップに輝いた。続く大阪も四天王寺中高、山口も野田学園中高と中高一貫での育成システムが確立しており、長期間の育成モデルを持つ学校のある都道府県が上位を占めた。

日本卓球界では、中学から高校まで私立の名門中高一貫校で6年間指導を受けるパターンでトップ選手が生み出されることが多かった。青森山田中高出身の水谷隼、丹羽孝希らが代表的だ。

ただ一方で近年はJOCエリートアカデミー出身の張本智和、平野美宇らが世界のトップ層に躍り出るなど、新たな育成モデルも確立し始めている。

部活動を中心とした都道府県単位での育成に加え、エリートアカデミーでの国を挙げての育成。打倒中国を掲げ、両輪で歩みを進める日本卓球界のこれからに注目だ。

文:ラリーズ編集部

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